糖尿病のV字回復法

血糖値がガクンと落ちる

 患者数740万人という“国民病”糖尿病の対策に、厚生労働省が乗り出した。従来の治療目標よりも厳しい目標を定め臨床試験を進めているが、患者が知りたいのは「どうすれば血糖値が落ちるのか」の一点だ。
「糖尿病専門医にまかせなさい」の著者で、AGE内科クリニックの牧田善二院長が「これを実行すれば、数値がグングン改善する」と太鼓判を押すのが血糖値の“自己測定”。自分で腕に注射し採血して、食事前後や運動前後の血糖値を測るのだ。その劇的効果を牧田院長に聞いた。
 過去2カ月の血糖の平均を示すHbA1c値(基準値4.3〜5.8%)が9.2と血糖コントロールがかなり悪化していたOさん(53歳)は、「そば」は血糖値にいいと信じていたが、自己測定の結果にガク然。そばを食べて2時間後の血糖値が、116→252に急上昇していたのだ。逆に血糖値に悪いと思っていたヒレステーキは115→113と下がっていた。
 Oさんはそばなど炭水化物をたくさん食べて、おかずは少しという食事パターンだったが、これを機にそばやご飯を控えめに。そのかわり肉や魚は大丈夫と判断し、昼も夜も好物のステーキを食べているが、HbA1cは2カ月で6.4に。
「Oさんはすしを食べる日もありましたが、その後は20分間のウオーキングをするなどして血糖値を下げる工夫をしました。すしを食べた直後の血糖値は222でも、軽い運動で166にダウン。HbA1cを下げるには、食後血糖値を200以内に抑えることが重要で、それを守るには、こうした工夫が欠かせません」
 自己測定による炭水化物カットとシナモン摂取の相乗効果で3カ月でHbA1cを11.3→5.1に下げたのは、自動車メーカーのTさん(48歳)。
「シナモンは血糖値改善効果が確認されたので、シナモンコーヒーで1日3グラムのシナモンを摂取してもらいました。3カ月後からは投薬治療を中止しても、HbA1cは基準値の5.8を下回っています」
 2人とも禁酒はしていない。拍子抜けするほど楽な治療法に見える。
「自己測定をすれば、食事による血糖値の変化が一目瞭然です。その記録をとり続けると、控えるべき食材、食べても問題ない食材がハッキリとわかり、食生活を改善しようという意識がわいてきます。医者にシリを叩かれても反発する人が多いのですが、自分自身で気づけばヤル気になるもの。だから自己測定をすると、治療効果が高まるのです」
 インスリン注射というと、糖尿病治療の“最終選択肢”のイメージを持つ患者が多く、毛嫌いされがちだが、早期導入で血糖値ダウンに成功したのが、営業マンのGさん(49歳)だ。
「血糖値が348、HbA1cが10.9で、腎臓の合併症を併発していたため、早急な血糖コントロールが必要でした。彼は“入院しないで済むなら”と注射を受け入れ、キチンと実行してくれたため、5カ月でHbA1cは5.9に下がり、合併症も治りました」
 Gさんも“非禁酒組”だ。生活習慣病の最終ステージといわれる糖尿病だが、前向きな治療をすれば、おびえることはないのだ。

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