メタボリック症候群で突然死しない要注意事項


 いま話題のメタボリック(内臓脂肪)症候群が怖いのは、動脈硬化から進行する心筋梗塞や脳卒中といった、死に至る合併症を引き起こすことだ。それだけに、該当者は内臓脂肪を減らし、血圧や血糖、血中脂肪を下げることが不可欠。でも、根本改善は大変で時間もかかるし、心筋梗塞や脳卒中の発作は待ってくれない。今すぐ襲ってくるかもしれない。そこで、とりあえず突然死につながる発作だけは避けるため最低限の要注意事項を紹介しよう。

●取りあえず心筋梗塞や脳卒中の発症を避ける
 脳や心臓の血管疾患というと冬場が危ない印象が強いが、脳梗塞や心筋梗塞は実は夏場もヤバいのだ。
「脳血管障害は5〜6月が最も少なく、暑くなるに伴って増加します。暑さ自体が合併症の天敵であるストレスとなりますし、汗を多くかくので体内が脱水状態になり、血液がドロドロになって血管を詰まらせる血栓ができやすいのです」(日赤医療センター脳神経外科・鈴木一郎部長)
 メタボリック症候群で死にたくなければ、「これだけはやれ」「これだけはやるな」という注意事項がある。

●睡眠の前後に1杯の水を
 脳梗塞や心筋梗塞で突然死した人が、発作時に何をしていたか調べた統計によると、3人に1人が「就寝中」だった。
「要注意なのが朝方です。交感神経が活発になって血圧が上がるうえ、就寝中に汗をかいて血液がドロドロになり、血栓ができやすい状態なのです」(鈴木部長)
 寝る前と起きてすぐに、1杯水を飲む習慣をつけよう。起き抜けの1杯は常温で。冷水は体を冷やし血管を収縮させるから危険なのだ。
「睡眠は7時間が最も虚血性心疾患や脳卒中の発症率が低く、それより短くても長くても上がる、という米国の研究結果があります」(日大医学部総合健診センター・高橋敦彦医長)
 理想は7時間睡眠だ。

●ゴルフ前は入念に準備を
「脱水症状を起こすような激しい運動は、血液の粘度を高め、血管を詰まらせやすくします。逆に1日30〜60分の有酸素運動は、動脈硬化の進行を抑え、血栓をできにくくします」(榊原記念病院・伊東春樹副院長)
 ところが、ゴルフやハイキングのような軽い運動でも発作は起こる。複数の医療関係者によると、ゴルフ場でティーショットを打つ瞬間にバッタリ、という話をよく聞く。そんな時はたいてい、睡眠不足で車を長時間運転し、準備運動もせず、いきなり緊張する朝の第1打に臨んだなど、発作によくないことが重なった状況だ。睡眠を十分に取り、ストレッチなどを忘れずに。
 もちろん、こまめな水分補給は欠かせない。

●冷房が効いた部屋に入るときは汗を拭く
「夏なら暑い屋外から冷房の効いた部屋に、冬なら暖かい部屋から寒い戸外に急に移ると、急激に体が冷えて血管が収縮し、発作の原因になりかねません」(鈴木部長)
 体を冷やさないために汗をよくぬぐってから屋内に入ること。

●サウナ後のビールは危険!
 入浴は血圧を大きく変動させる。特に朝の熱い風呂やシャワーは、交感神経を活発にし、血圧を上げるので要注意だ。
「夏は、サウナで汗を流した後にビールが気持ちいいですが、脱水状態で利尿作用があるビールを飲むのは危険行為です」(鈴木部長)
 風呂やサウナの前後に水分補給を忘れずに。

●月曜日は要注意
 鳥取大医学部の調査によると、脳卒中の発症率は月曜日が最も高く、最も低い日曜日の1.5倍だという。土日の遊び疲れに週頭の緊張が加わるためと考えられる。
 月曜は発作の引き金にもなるたばこはやめ、酒も控えめにして、要注意事項を厳守することだ。

《メタボリック症候群とは?》
 腹囲が男性85センチ以上で、高血圧、高血糖、高脂血症のうち2つ以上に該当すると診断される。ひとつひとつの数値は深刻ではなくても、2つ3つと重なると動脈硬化を促進し、命にかかわる虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症)や脳卒中(脳梗塞や脳出血)を引き起こす。

top>データベース7>