この10問で正しいのはどれ?

正しい知識が「改善」の第一歩

 血中コレステロールや血糖、血圧など生活習慣病についての知識は、意外と勘違いしていることが多い。それではいくら頑張っても、持病は改善するどころか悪化する。生活習慣病で苦しまないために、正しい知識を身につけておこう。

 まず、次の生活習慣病に関する10問に、○×で答えてください。

■Q1 総コレステロール(TC)値は低ければ低いほど体にいい。
■Q2 善玉(HDL)コレステロール値は高ければ高いほど、悪玉(LDL)コレステロール値は低ければ低いほど体にいい。
■Q3 糖尿病になったら、食事では糖分だけ制限すればOK。
■Q4 糖尿病が原因の目の障害は、徐々に視力が低下するので、近視と区別がつきにくい。
■Q5 最大血圧と最小血圧の差は、小さいより大きい方が健康だ。
■Q6 最大血圧と最小血圧のどちらかの数値が基準値内なら、そう心配はいらない。
■Q7 安価な家庭用血圧計で測った数値が高くても、健診の数値が基準値内なら大丈夫。Q8 軽い運動より、少し激しいくらいの方が尿酸値は下がる。
■Q9 尿酸値は高くても、プリン体が多いビールや食材をやめれば、酒や食事の量はあまり気にしなくていい。
■Q10 内臓脂肪はただの脂の塊で、それ自体は特に悪さをしない。

 さて、解答だが、実はすべて×。驚く人もいるだろう。以下は高輪メディカルクリニック・久保明院長の解説だ。

■A1 TC値が高いほど動脈硬化リスクが高まることは知られているが、逆に基準値(140〜219mg/dl)より少ない130以下だと「低脂血症」と呼ばれる。
「高血圧と重なると脳出血の危険が増します。甲状腺機能亢進症や肝障害、がんなどが隠れていることもあります。ただ、心臓病の人に限れば、低ければ低いほどいいという説もあります」
■A2 善玉だから多いほどいいと思いがちだが、実は基準値(40〜99mg/dl)を上回ると「高HDL血症」と見なされ、かえって動脈硬化を進めるとの報告もあるのだ。
 一方、LDLが基準値(70〜139mg/dl)より低いと、TCも同時に低いことが多く、A1と同じ状況と思えばいい。
■A3「間食や飲み物、調味料にいたるまで、厳しいカロリー制限が必要です」
■A4「糖尿病が進行すると、視力はあまり変わらないまま、眼底出血から網膜症に進むことが多いのです」
 合併症は長時間かけてジワジワ進むので、気が付いたら手遅れ、ということが多いのだ。
■A5 昔はそういわれていたが、最近は上下差(脈圧という)が大きいと動脈硬化の心配があると考えられる。
「脈圧は大きすぎるのも小さすぎるのも問題。40前後が一般的です」
■A6「どちらかが基準値(上140mmHg以下、下90以下)を上回れば高血圧と診断されます」
■A7「普段は血圧が高いのに、病院で測ると低い値が出る“仮面高血圧”の疑いがあります」
 米国では、仮面高血圧の人は心血管系疾患のリスクが通常の3.86倍という統計も出ている。
■A8「激しい運動はかえって尿酸値を上げます」
 痛風発作の引き金にもなるから要注意だ。
■A9 尿酸値で酒が問題なのは、質ではなく量。ビールでも1日に中ビン1本までならOKだ。
「食事でもエネルギーの過剰摂取にならないことが重要です。尿酸排泄を妨げるケトン体の原料となる脂質にも気をつけましょう」
■A10「内臓脂肪の細胞は、血圧や血糖値、中性脂肪を上げる各種ホルモンを分泌しています」

 一方、食欲を抑えるレプチン、動脈硬化を抑えるアディポネクチンなど“善玉ホルモン”も分泌しているが、これらは脂肪の蓄積が進むと分泌量が減ってしまう。内臓脂肪のためすぎはダメ、といわれるゆえんだ。
――アナタはいくつ正解でした!?

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