高血圧を下げる徹底裏ワザ

手ごわいから心してかかろう

 いま注目のメタボリック(内臓脂肪)症候群対策シリーズ第3弾は、「高血圧対策の徹底裏ワザ」だ。昭和女子大学生活科学科・中津川研一教授が勧める「簡単にできる効果的な方法」を紹介しよう。
 第1弾の「血糖値」、第2弾の「中性脂肪」とともに、絶対に押さえておきたいものばかりだ。

●ダークチョコを食べる
「米国の研究者が医学誌『Hypertension』に発表しました。高血圧で薬を服用していない男女各10人を2群に分け、最初の1週間は1日約100グラムのダークチョコかホワイトチョコを、次の週は種類を入れ替えて摂取してもらったら、ダークチョコ摂取で収縮期血圧(上)が平均11.9(mmHg)、拡張期血圧(下)は平均8.5下がったのです」
 実験では、ホワイトチョコの血圧降下作用は認められなかった。「1日約85グラムのダークチョコが目安」とのことだ。ちなみに、ダークチョコはカカオ含有量が多い苦味が強めのチョコのこと。

●魚料理は「みそ煮」で
「健康のためにも和食中心に」とよくいわれるが、和食の定番、魚料理は、刺し身や焼き魚より、「みそ煮」がいい。みそって塩分が多いのでは、と思う人が多いだろうが、実は違うのだ。
「確かに塩分が入っていますが、大豆発酵食品のみそには、血圧降下に役立つ成分が豊富に含まれているのです」
 農林水産省食品総合研究所・タンパク質研究室の川村幸雄室長は、みそのタンパク質には主に血圧を下げる方向に働く物質があることを実験で証明している。
 刺し身や焼き魚は、しょうゆや塩をかけるから、どうしても塩分取り過ぎになりやすい。魚料理はみそ煮で決まりだ。

●みそ汁の具はサヤインゲン、タマネギ、ジャガイモ
 みそ汁の具選びで、一層血圧降下作用が高まる。カリウムの含有量が多い野菜を選ぶのがポイント。
「サヤインゲン、タマネギ、ジャガイモなどがまさにそうです。カリウムはナトリウム(塩分)対策に有効なミネラルです」

●海藻を毎日最低1食
 海藻に含まれるアルギン酸という成分がいい。
「アルギン酸は食物繊維の一種。海藻の中で主にカリウムとくっついて存在しますが、海藻が胃の中に入ると、まずアルギン酸からカリウムが離れ、カリウムが体内に吸収されます。さらに海藻は腸に運ばれ、今度はアルギン酸が腸に多いナトリウムとくっつき、そのまま体外に排出されるのです。つまり、アルギン酸は、体内のカリウムを増やし、一方でナトリウムを減らしてくれるのです」
 昆布やヒジキが特にお勧めとのことだ。

●レモン汁や酢、薬味、ハーブ類を活用する
 しょうゆを使うならポン酢を併用し、しょうゆの量を減らす。唐辛子やショウガ、ニンニク、ネギなどの薬味、ハーブ類を使うのもいい。
「しょうゆや塩の量が多少少なくても、おいしくいただけます」

●ビタミンCとEを取る
 さらに踏み込んだ対策が、動脈硬化を防ぎ改善すること。動脈硬化が進めば血流が悪くなり、それを流そうとするため血圧が上がる。この動脈硬化対策に、ビタミンCとEがいいのだ。
「ビタミンEとCは、血液中の脂質が過酸化脂質となって血管の内側に付着するのを防ぎ、動脈硬化予防になる。イチ押しは、ホウレンソウ、牛乳、ブロッコリー、ピーマン、イモ類、レモンです」
 これからの季節、枝豆をつまみに、レモンやグレープフルーツの果汁を搾った焼酎を飲むと、どちらも取れて一石二鳥。

●ビタミンB2を取る
 すでに過酸化脂質が血管内に付着している場合は、ビタミンB2だ。
「シイタケ、サケ、納豆などがいいです。ビタミンB2は、付着した脂質の分解を促進します。動脈硬化を起こしていても、症状が改善されます」
 比較的数値が下がりやすい血糖値や中性脂肪に比べて、血圧は結果を出すまで少し時間がかかる。それでも“成功すれば”、確実に脳梗塞、心筋梗塞などのリスクが下がるのだ。さあ、いざ!


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