胃がんは怖い
王監督の緊急入院・全摘手術ショック
日本人で最も多いがんが胃がんだ。肺がんやすい臓がんなどの難治がんと比べると、比較的治りやすいがんといえる。しかし王監督の緊急入院、胃の全摘手術でわかるように、胃がんもなかなか手ごわいのだ。癌研有明病院の山口俊晴消化器センター長に聞いた。
●4人に1人は死ぬ
「胃がんなら大丈夫、死にはしない」と思っている人が多いかもしれないが、日本胃癌学会の調査では、胃がん手術後の5年生存率は73・7%。約4分の1は助からないのだ。
「4人が胃がんの手術を受けたとして、2人は早期がんで助かるが、残る2人は進行がんでそのうち1人は死に至ることになります。手術もできずに死ぬ人も入れると、死亡者はもっと多くなります」
実際、胃がんの年間死亡者数はざっと5万人。これは肺がんの6万人に次いで多い。
●見つかりにくく悪性度が高いスキルス胃がん
ほとんどの胃がんは、胃壁の表面から盛り上がったり潰瘍をつくったりしているが、スキルス胃がんはがん細胞が胃壁の中にもぐり込んで広がっていくので、健診を受けても見つかりにくい。
「しかもがんの悪性度が高いので、進行が速く、腹膜や肺に転移しやすい」
診断も治療も難しく、見つかった時には手遅れで余命1年あるかないかという人も多いのだ。
●エックス線検査では見逃されやすい
毎年健診を受けていても、エックス線検査では早期がんは見逃されやすい。
「よほど上手な人が検査をするならともかく、多くの場合、エックス線検査で見つかる胃がんは進行がんのことが多い。その点、内視鏡検査なら駆け出しの人がやっても、早期がんを見つけることができます」
特に身内に胃がんの人がいたり、ヘビースモーカーの人は、年に1回は内視鏡検査を受けた方がいいという。
●内視鏡治療でOKか手術かの分かれ目
胃がんを顕微鏡で見ると、がん細胞が比較的きれいに並んでいる分化型と、細胞がバラバラになっている未分化型に分かれる。
「早期がんでは、これによって治療方針が異なってきます。分化型で大きさが2センチ以下であれば、リンパ節転移の可能性が低いので、手術せずに内視鏡で治療が可能です。ただし未分化型は、小さくてもリンパ節に転移することがあるので、原則として内視鏡では治療しません」
胃がんが小さい場合は、未分化型より分化型が有利ということか。内視鏡治療は手術に比べて負担が小さく、病状の深刻度も軽い。
●胃を残せるかどうか
がんができた部位によって胃を残せるかどうかが違ってくる。
「がんが胃の入り口に近いところにできていると、胃を全部取ることが多い。胃の出口に近いところなら、胃を残せることが多い」
胃がんもまだまだ“怖いがん”のひとつであることを、肝に銘じておきたい。
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