高千穂遙氏

「自転車で痩せた人」(NHK出版・700円)

 脂肪肝、高脂血症、高血圧を抱え、メタボリックシンドロームの典型だった50代のSF作家が、3年で25キロの減量に成功。完全な健康体を手に入れるまでの“自転車”ライフを公開した話題の一冊だ。

「40代で椎間板ヘルニアになって趣味のテニスもスキーもやめて以来、一日中書斎にこもる毎日。肉と卵、揚げ物が大好きで、気づいたら体重84キロで体脂肪は24%に。4年前、50歳のときに、血液検査で生活習慣病の一歩手前と診断されて、焦りましたね。なんせ先輩作家や同世代の友人に糖尿病やがん、心臓や血管の病気になった人がたくさんいた。病気になったら本人も周囲もどれだけ大変か、わかっていたから、強い危機感を覚えたんです」
 しかし、スポーツクラブは挫折した過去があり、腰痛があるからジョギングやウオーキングも無理。どうしようかと悩んでいるときに、著者は疋田智さんが書いた「自転車生活の愉しみ」という本に出合ったという。
「そうだ、自転車があった! そう思ってすぐに自転車ショップに走り、国産のクロスバイクを買いました」
 その後、よりスポーツ度の高いスポルティーフに乗り換え、次にF1カーに匹敵するロードバイク“TREKの5500”を手に入れるなど、愛車をグレードアップしながら着実に走行距離を延ばし、スピードをアップしていった著者は、1年も経たずに血液検査の数値がすべて正常化。2年目には体重64キロ、体脂肪14%に。54歳の今は週4日、1日に60キロ走って、体重59キロ、体脂肪9%とアスリート並みの体を維持している。
「手足は完全に筋肉質になり、青年時代の体形に戻った上に、毎日が気分爽快で快眠快食。毎日だるくて寝つきが悪かったのがウソのようです。とにかく自転車は乗った瞬間から運動になる、非常に効率のいい有酸素運動。私のようにのめりこまなくても、1日1時間、心拍数が上がるスピードで走れば、体脂肪は正常値の15%まで楽勝で落ちます。食事制限でやせるのと違って筋肉も代謝も落ちないからリバウンドもない。メタボリックシンドローム解消にオススメの方法ですよ」

▼高千穂遙(たかちほ・はるか) 1951年名古屋生まれ。法政大学社会学部卒業。77年に「クラッシャージョウ 連帯惑星ピザンの危機」で作家デビュー。同シリーズほか著書多数。

top>データベース6>