がんになるポリープ

大腸は要注意、大きくなったら悪政を疑え

 健診で「ポリープが見つかりました」と医者に言われたら、「がんじゃなくてよかった……」とホッとする人も多いだろう。だが、ポリープだから安心というわけにはいかない。良性のポリープでもがん化するものもあるのだ。すぐ切った方がいいポリープ、切らなくていいポリープとは――。さいたま市の「とまつ内科・胃腸科」の戸松成院長に詳しく聞いた。

「健診で見つかるポリープは、主に大腸と胆のう、そして胃の3カ所です。このポリープのできる場所と種類によって、がん化する割合はだいぶ違います」
 では、3つの臓器別に見ていこう。

●大腸ポリープ
 便潜血反応で陽性と出て、その後の内視鏡などの精密検査で見つかることが多い。40代で約30%、50代以上でほぼ半数に見つかるポピュラーなポリープだが、がん化する可能性も実は高い。
「大腸ポリープは過形成性ポリープと、良性腫瘍の腺腫、悪性のがんなどに分かれます。過形成性は切除せず放っておいても大丈夫ですが、腺腫は大きくなるとがん化する可能性があります」
 腺腫は大腸ポリープの約8割を占めるといわれ、直径が10ミリだと20%、20ミリで50%、30ミリ以上ではほぼ100%ががん化するという。
「10ミリ以上なら内視鏡を使って切除するのが原則です。5ミリ以下でも絨毛(じゅうもう)状腺腫のようにがん化しやすい腺腫や、経過観察して大きくなった腺腫なら切除します」

●胆のうポリープ
 エコー検査で、5〜10%の割合で見つかる。
「ポリープの数が多く、大きさも数ミリと小さい場合は、良性のコレステロールポリープの可能性が高い。胆汁中のコレステロールエステルが胆のう粘膜に沈着してできるもので、がん化する心配はありません。また、過形成性ポリープも良性で、切除は不要です」
 胆のうポリープのうち、コレステロールポリープが占める割合は95%以上と圧倒的。ちなみに、胆汁や血中のコレステロール濃度とポリープのできやすさは関係ない。
 ただし、放置して大きくなるようなら、がんか、がん化する恐れがある腺腫の可能性もある。一般的に、直径10ミリ以上になると20%、15ミリ以上で60%はがんの可能性があるといわれる。
「10ミリより小さければ6カ月、10ミリ以上なら3カ月経過を観察し、以前と比べ大きくなっていればお腹に小さな穴を開け、腹腔鏡を使って胆のうの摘出手術を行います」
●胃ポリープ
 バリウム検査などで見つかる胃ポリープのうち90%以上は、イチゴのように赤みを帯びて凸凹がある、良性の過形成性ポリープだ。
「出血していれば内視鏡で切除することがありますが、基本的に放置して大丈夫です。また、胃底腺ポリープもがんとは無関係です」
 ただ、数%の割合で、がん化する可能性がある腺腫のケースがある。
「その場合、最近は早めに内視鏡で粘膜切除することが多いですね。また、がん細胞が見つかった場合は、粘膜内か粘膜の比較的浅い位置なら内視鏡切除を、粘膜の下層にまで浸潤していたら開腹手術を行います」

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