植物性乳酸菌のこと知っていますか?
飲料が相次ぎ発売され話題
乳酸菌といえばヨーグルトを思い浮かべるように、イメージは「動物性」だった。ところが、カゴメとキッコーマンが相次いで「植物性乳酸菌飲料」を発売。ガ然、「植物性」乳酸菌が注目を集めているのだ。動物性と植物性で何が違うのか? 植物性乳酸菌に詳しい東京農業大学教授の岡田早苗氏が言う。
「乳酸菌は糖分をエサに乳酸を作り出す細菌の総称です。牛やヤギなどの動物の乳にある乳糖をエサにするのが動物性乳酸菌。これに対し、大豆、米、麦などの植物にあるブドウ糖やショ糖、果糖など糖分をエサにするのが植物性乳酸菌です。動物性乳酸菌は50種類ですが、植物性乳酸菌は200種類に上ります」
この種類の多さによって、植物性乳酸菌は幅広い健康パワーが期待されているのだ。
「植物性乳酸菌の健康パワーは菌全体に等しく備わっているのではなく、同じ種類でも一つ一つの株(個体)によって違います。抗アレルギー作用を強く示す株があれば、免疫力を高める効果と抗がん作用を併せ持つ株もある。病原性大腸菌のO―157の働きを抑える株も発見されているし、高脂血症改善効果のある株も確認されています。未解明の株がほとんどで、効果の詳細は計り知れません」(岡田教授)
抗アレルギー作用や抗ウイルス作用、免疫力強化などは、動物性乳酸菌の効果でもあるが、効き目は植物性の方が3〜4倍も勝る。整腸作用の効果を左右する乳酸菌の腸内生存率は、植物性が動物性の10倍も優れている。植物性乳酸菌の方が断然効率的なのだ。では、何を食べればいいのか。
「発酵食品は植物性乳酸菌の宝庫です。漬物はもちろん、味噌、しょうゆ、酒にも含まれています。少量の漬物とみそ汁でご飯を食べるような、伝統的な日本の朝食で十分。ただ、スーパーの漬物は発酵が進んでなく、植物性乳酸菌がほとんどないこともあるので、自宅で漬けるか、古漬けを買ってくるといい」(岡田教授)
キムチやザーサイ、ドイツのキャベツの塩漬け・ザワークラウトも植物性乳酸菌をたくさん含んでいる。
生活習慣病や予備軍の中高年は、漬物の塩分はできるだけ少なくしたい。これを実行しながら、植物性乳酸菌のメリットだけを得る手がある。横浜創英短大の則岡孝子教授がこうアドバイスする。
「カリウムは塩分、食物繊維は老廃物の排泄はいせつ)を高めるので、これらの成分を豊富に含む食品を一緒に食べると、塩分が排出されやすい。いずれも果物や野菜、豆類、キノコ類、海藻類に多く、里芋やカボチャなど野菜の煮物、ワカメの酢の物、キノコ炒めなどがおすすめです」
植物性乳酸菌は1回取ると、最大4日は体内にとどまるという。1日1回の摂取で十分だ。
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