ニセ水虫って何だ!?
水虫と思った3人に1人はコレ
ジメジメした日が増え、いよいよ水虫の本格シーズンがやってきた。皮膚科もGWを過ぎると、水虫の症状を訴えて来院する患者が急増するという。ところが、患者の3人に1人は水虫ではなく、症状は同じでも別の疾患である“ニセ水虫”というのだ。一体、ニセ水虫って何だ!?
「よく“水虫がなかなか治らない”“薬をつけたら悪化した”という患者さんがいますが、それは実は水虫ではなく“ニセ水虫”であることが多いですね」
と言うのは、水虫に詳しい「哲学堂くすのき皮膚科」院長の楠俊雄氏だ。
「水虫は、カビの一種である白癬菌が足に感染して起こります。しかし、皮膚科を訪れる“自称水虫患者”の足を調べたら、33.6%の人には白癬菌が存在しませんでした。つまり、“足がかゆいから”というので、水虫と思い込んでいただけなのです」
水虫とニセ水虫は、見た目も症状もそっくりで、皮膚科医も見ただけでは区別がつかないという。唯一確実な診断法は、顕微鏡で足の皮膚組織に白癬菌が存在するかどうかを調べることだ。
「どんなに効く水虫薬をニセ水虫に塗っても、治るどころか逆に悪化しかねません。ニセ水虫にはニセ水虫の治し方があるのです」
ニセ水虫の“正体”別に対処法を見ていこう。
《湿疹・皮膚炎》
ニセ水虫の4人に3人がコレ。さまざまな皮膚への刺激で起こる炎症で、金属や植物によるかぶれもここに含まれる。
「外用ステロイド剤を1週間ほど塗れば、だいたいよくなります」
《角質剥離症》
ニセ水虫の約10%。靴や靴下を長くはいていたりして足が蒸れ、皮がふやけてむけるものだ。
「疾患とはいえないので、とりたてて治療は行いません」
《皮膚細菌感染症》
ブドウ球菌や連鎖球菌など、一般細菌に感染して発症するもので、子供が感染すると“とびひ”などと呼んだりする。ニセ水虫の約6%。
「抗生物質の内服と外用薬を併用することで、約1週間で治癒します」
《掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)》
ニセ水虫の3%前後とまれだが、女優の奈美悦子がこれにかかり、全身に激痛が走る骨関節炎に進行して、話題になった疾患である。
「原因ははっきりわかっていませんが、歯にかぶせた微量金属のアレルギー、へんとう炎や副鼻腔炎(蓄膿症)との関連などが指摘されています。なかなか治りにくく、皮膚科の特定疾患に指定されている難病の一つです」
外用ステロイド剤やボンアルファ(ビタミンD剤)の塗布、ビオチン(ビタミンH)の服用などで治療していく。
「また、白癬菌と一般細菌が一緒に感染するケース、水虫と湿疹・皮膚炎を併発するケースもあります。その場合は、先に水虫薬を使うと悪化するので、まず一般細菌や湿疹・皮膚炎の治療を行い、その後に白癬菌退治にかかります」
いずれにせよ、足がかゆくなったら素人判断は避けて、皮膚科の診断を受けるべき。
「白癬菌がいるかどうかの検査は10分もかかりません。ただし、それをしないで診断する医者もいるので、専門知識を持つ皮膚科単科への受診をおすすめします」
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