高脂血症

コンニャクのステーキなどの工夫で満足感も味わう

 40〜50代男性の約6割が高脂血症だという。これがもとで起こる動脈硬化など、恐ろしい疾患から逃れるにはどうすればいいか。東邦大医療センター大森病院の糖尿病・代謝・内分泌センター長、芳野原教授に聞いた。

●原因を知る
「何といっても、過食による肥満、糖分や脂肪分の取りすぎといった“食生活の乱れ”と“運動不足”がいけない。遺伝の影響も見逃せません。近親に脳卒中や心筋梗塞を起こした人がいると、生活習慣が乱れた生活を送った時に高脂血症になる確率が上がります」

●診断と重症度
 診断基準は、総コレステロール値(TC)が220mg/dl以上、善玉(HDL)コレステロールが40以下、中性脂肪値が150以上だ。通常は、これを超えたら生活改善を行い、それで下がらなければ薬で治療する。
「宴会が多いなど生活改善がムリな人には、最初から投薬することもありますし、TCが高くてもHDLが十分な値なら、動脈硬化がないことを条件に厳密な生活管理をしない場合もあります」

●生活習慣改善の基本
 摂取カロリーの制限は欠かせない。BMIの標準値22から出す標準体重(身長メートル×身長メートル×22)に、25〜30キロカロリー(職種により変わる)を掛けて算出される1日の必要カロリー量以下に抑え、1日3食規則正しく食べること。
「食材にも気を使ってください。ご飯を含めた糖分や脂肪分は、中性脂肪を増やすので控えめに。サンマなど青魚を使った焼き魚定食、和総菜が並んだ和定食がおすすめです。また、コレステロールを多く含む卵や卵加工品、魚卵、レバー、ウナギなどは一切食べない覚悟でいてください」
 外食なら、肉の脂身や鳥の皮、天ぷらの衣を残す、ご飯の量を半分にするなどの努力が必要だ。
「アルコールは少量ならHDLを増やすといわれます。ビールなら中ビン1本、日本酒なら1合以内に。たばこは動脈硬化の危険因子なので厳禁です。血管を強くして心不全を起こしにくくするために、運動も1日30〜60分歩く努力を」

●効果を測定
 生活改善の効果を自分で定期的に確認したいが、家庭用測定器はまだ普及していない。
「月に1回、病院で測定を。家で毎日効果を確認したいなら、体重とヘソ回りの腹囲を測って記録するといいですよ」

●自分流にアレンジ
 基本的な改善策がうまくいかないなら、自分に合った工夫をしよう。
「たとえば油を使う料理を食べたいなら、ラードやバターなど常温で固形の油を避け、オリーブ油や“脂肪が付きにくい”をうたう食用油にする。甘いものを食べるなら、洋菓子より卵を使わない和菓子の方がいい。低カロリーの人工甘味料も上手に使いましょう」
 もちろん、どちらも取り過ぎはダメ。外食で時間がない時は、牛丼やカレーをかっ込むより、コンビニで「おにぎり+サラダや和総菜」を買って食べるといい。清涼飲料や牛乳はカロリーが高いので、飲むなら水か無糖のお茶を。
「海藻やキノコ、豆、コンニャクなどは、コレステロールを排出してくれる食物繊維を多く含むので、これらを活用するのも手です。たとえば豆腐をハンバーグに、コンニャクをステーキにして食べれば、食べた時の満足感も味わえます」

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