医者が選ぶいい医者、いい病院の条件

20年以上医療現場を取材している吉原清児氏が明かす

 病気の専門家である医師が病気になったら、どの病院、どの医師に診てもらうのか――。特に、がんや心疾患、脳血管障害など、命に関わる病気や手術が必要な病気なら、なおさらそれが知りたい。そこで、20年以上医療現場を取材し、「医師がすすめる最高の名医+治る病院」(講談社)を先日出版した医療ジャーナリスト・吉原清児氏に、医師が「いい病院・医師」と評価するポイントを聞いた。

★テレビなどへの露出が少ない
「総じて名医は患者が殺到している状態なので、テレビなどに出演している時間はない。自分の専門分野についての解説番組ならまだいいのですが、テレビや雑誌などで医療に関する一般論を述べている医師は、医師の間では評価されていないケースが多いと考えた方がいいです」

★薬を3種類以上出さない
「ある医師は“薬を3種類以上出されたら疑え”と言っていましたが、まさにそうです。無駄に検査をし過ぎる、薬を何種類も出すといった医師は、医師の間では評価が低い傾向がある」

★手術件数が多い
「たとえば心臓手術の場合、医師が“名医”と評価するのは、これまでにやった手術件数が1000例以上、そして年間250例以上をこなす医師です。レベルが高い医師でないと、それだけの手術件数はこなせない」
 手術件数が多いのは、「口コミで来る患者が多い」「他病院から紹介された患者が多い」ということも表している。それだけ評価が高いのだ。手術件数も、公表していなければ医師に聞くといい。

★「治るのか?」「どんな検査か?」「治療はつらいのか?」に的確に答える
「患者側が特に確認したいのがこの3つです。それに的確に答えてくれる医師が名医です」
「診察時間が長い方がいい」と一般的に思われがちだが、それよりも“的確さ”が大事。
★ほかの医師や病院への紹介状を丁寧に書いてくれる
「自分の手に負えない患者が来たとき、その病気の治療に対して適切な医師、あるいは患者が希望する病院への紹介状を丁寧に書く。これは、特にかかりつけ医に求めるべきことです」

★一流の名医+レベルの高い医療チームがいる
 手術や治療は医師ひとりでするわけではない。だから、“医師が名医かどうか”に加えて、“医療チームのレベルが高い”ということも、医師が見る重要ポイントだという。
「これらを知るには、平均在院日数、平均手術時間、平均在院死亡率が手掛かりになります」
 それぞれ、「どれくらい入院したか」「手術に要した時間」「入院1カ月以内の死亡率」のこと。ホームページなどで公開している病院もあるし、そうでないときは医師に直接聞いてみるといい。
「手術時間などは医師やスタッフのレベルによって大きく開きがあります。たとえばある医師が1時間以上かかる手術が、名医らの手にかかれば5分で済むこともあります」

★新薬や新しい治療技術の知識と実績がある
「たとえば抗がん剤にしても、効き目の高い新薬がどんどん出ています。脳卒中の治療にしても、翌日にはほぼ完全回復できる新薬が登場している。これらについていち早く知っていて、さらに使用経験があることも大切なポイントです」
 どれも必須知識なのだ。

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