色で食欲をコントロール

ダイエットやバテ防止に予想以上の効果あり


「つい食べる量が増えてしまう」「暑いと食が細くなってバテやすい」――。食欲をコントロールできず悩む人は多いが、そんな時の手助けになるのが“色”だ。食器やテーブルクロスの色を少し工夫するだけで、食欲を減退させてダイエットに役立てたり、逆に増進させてバテを防ぐことができるのだ。食欲をコントロールする“カラーリング術”を紹介しよう。

「食事の時、感覚の中で一番よく働いているのは、味覚でも嗅(きゅう)覚でもなく、視覚です。人は情報の87%を視覚から得ていて、暗闇の中では何を食べてもおいしいとは感じません。“人間は目で食べている”といって過言ではないのです」
 と言うのは、カラーアナリストの桶村久美子氏。食欲は視覚が左右しているというのだ。
「特に重要なのが色彩。赤やオレンジ、黄など暖色系の色ほど食欲をそそられます。虹でいえば上の方にある色で、これらは見ただけで胃腸の動きを活発にする効果があります。牛丼など飲食店の看板にこうした色が多いのも、見た人の食欲をかきたてる狙いからです」
 逆に、減退させる色は紫や黄緑。それでも紫色のナスをおいしく食べられるのは、経験上「ナスはおいしい」と知っているからで、熱帯で取れるような青紫色の魚を見て、「ウマそう」とはあまり思わないだろう。
「また、赤と緑、黄と青のように両方の色を引き立たせる“補色”、茶と黄など似た色を組み合わせる“類似色”、濃淡が違う同じ色合いを用いる“同系色”といった色の関係を利用して、食欲をわかせることもできます。もちろん個人差がありますが、これらの特徴を上手に使えば、食欲をある程度コントロールすることは可能なのです」

●小物の色を変える
 同じカレーなのに、テーブルクロスと洋服を変えただけで、印象が違う。明らかに赤の方がウマそうだ。
「いつも食べ過ぎる人は、クロスやランチョンマット、視線に入るカーテンなどを紫や黄緑にすると、食欲を抑えられます。逆に食欲がない時は、赤やオレンジを積極的に取り入れましょう」

●照明も一工夫
「青っぽい蛍光灯の光は、黄色い食材などがくすんで見え、食欲がわきません。白熱灯や自然光の方が食欲が増します」 ダイエットしたい人は、食卓の照明を蛍光灯にしてみよう。

●彩りの工夫を崩す
「赤身の刺し身に青葉を添えるとおいしそうに見えるのは、赤と緑の補色の関係ができるから。ステーキの付け合わせが緑のブロッコリー、赤のニンジン、黄色のポテトなのも、それぞれ補色、同系色、類似色の関係だからです」
 食べる量を減らしたいなら、こうした彩りの工夫を崩せばいい。肉や刺し身は皿にそれだけドンとのせ、付け合わせは別皿に。肉じゃがもニンジンやインゲンは一緒に盛らず、茶一色にする。それだけで途端に食べる気がうせるから不思議だ。

●黒い食器で味を濃く見せる
 米国の実験で、焦げ茶色と黄の2種類の缶に同じコーヒーを入れて被験者に飲んでもらったら、焦げ茶の缶の方が味を濃く感じた、と答える人が多かったという。
「食べ物を濃い色の器に入れると、味も濃く感じます。うな重が黒塗りの器なのも、そうした効果を狙ってのことです」
 高血圧などで濃い味付けを控えている人は、黒っぽい食器を使えば、薄めの味でも濃く感じて満足感を味わえるだろう。

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