理想的な「健康24時」はこうだ
時間医学の第一人者がアドバイス
いま医療界で注目を集めているのが「時間医学」だ。「時間」と「病気の発症や体の働きなど」との関係を、科学的なデータに基づいて表したもの。がんなど重大病の治療にも利用されているが、この時間医学は日常生活でも健康維持に役立つことが多いのだ。
そこで、時間医学の第一人者、山梨医科大学名誉教授で新潟県長岡市の立川メディカルセンター顧問の田村康二氏に、理想的な一日の過ごし方“健康24時”を聞いた。
●起床はAM5:30
“早過ぎる”と思うだろうが、免疫力を上げたければやった方がいい。
「免疫力を高め、病気になりにくくする基本は、生体リズムを整えること。そのために、日の出と同時に起きて朝日を存分に浴びる。太陽が地平線から昇る寸前の光は青白く、これが生体リズムを“正常”にするのに最もいいのです。日が高く昇ってしまい、光が黄色っぽくなってしまった朝8時の起床では遅すぎます」
ちなみに、今の季節の東京の日の出時間はAM5:30前後だ。
●起床後からAM8まで水をたくさん飲む
脳梗塞・心筋梗塞の対策になる。
「起床後の2時間は血栓が最もできやすく、脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすい。血圧は起床とともに急激に上昇し、動脈を急に広げ負担がかかり血栓ができやすくなるので、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高くなる。水をたくさん飲めば、血液の粘度が弱まり、血栓ができにくくなるのです」
コップ2、3杯は飲むようにしよう。
●AM10とPM2にチョコレートを食べる
心身の疲労蓄積を回避するのにいい。
「中小企業災害補償共済福祉財団の調査で、AM10〜11とPM2〜3に労働災害の発生件数が多いという結果が出ています。人間の生体リズムは、だいたい90分間隔で動いていて、仕事始めから90分後、つまりAM10〜11とPM2〜3に心身ともに疲労が高まり、事故などが多くなるのです。ひと休みをすると疲労対策になり、ミスや事故を防げます。さらにチョコレートを食べれば、含まれているポリフェノールで体内の活性酸素の除去もできます」
特に月・木曜日は、ひと休みをした方がいい。労働災害がこの2つの曜日に多発しているのだ。
●正午前後に15分間、屋外に出る
不眠対策になる。
「強い太陽の光にあたると、血液中のホルモンで睡眠物質であるメラトニンが激減します。それによって夜間にメラトニンの分泌が激増し、質の良い睡眠が取れるのです」
●重要な仕事や会議はAM10〜12にやる
「AM10〜12は脳や精神の働きがピークに達しているとき。頭がさえ、状況を見極め、素早く即断できます。一方で、単純な繰り返し作業を行う力が最も発揮されるのは夕方です。根気のいるような仕事は夕方にやった方がいいでしょう」
ただし、夕方は「仕事は速いが誤りも多い」という傾向がある。翌日、再チェックした方がいい。
●夕食はPM8に
「PM8過ぎから胃酸の分泌量が最も高まるので、消化をよくするならこの時間がいい」
●90分の倍数時間の睡眠時間を取る
「一般的に90分ごとに訪れるノンレム睡眠のときに目覚めると、快適な目覚めになります。ノンレム睡眠でないときに目覚まし時計で強制的に起こされると、朝眠くてたまらず、体もだるい」
AM5:30に起きようと思えば、PM11:30あるいはAM1には床についた方がいい。
●遅くてもAM2までには寝る
「AM2は髪の毛や皮膚など体を作る成長ホルモンの分泌量が最も多くなるときです」
抜け毛が気になる人は、絶対に守ろう。
さあ、今日から「健康24時」を実行だ。
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