高血圧

外食で塩分取り過ぎたら自宅で薄味にし調整すればいい

 サラリーマンも30歳をすぎたら、生活習慣病とは無縁でいられない。高血圧、糖尿病、高脂血症など、何らかの病気にひっかかる。だったら自分の病気のことをきちんと知り、自分流の改善策を考え実行した方がいい。そして効果を自分でチェックしながら、工夫を加えていく。そうすれば生活習慣病にオサラバも夢ではなくなる。シリーズ1回目は高血圧――。
 患者数3000万人以上、生活習慣病の代表格といっていい高血圧だが、意外と見落としていることが多い。慶応大学保健管理センターの齊藤郁夫所長に“付き合い方”を聞いた。

●原因を知る
「高血圧のほとんどは、食塩の取りすぎや食べすぎ、酒の飲みすぎ、肥満、運動不足など生活習慣の乱れに原因があります。また、遺伝的な要因も関係してきます」
 大まかな数字だが、両親とも高血圧だと、子供が高血圧になる素因を持つ確率は約50%、親のどちらかが高血圧なら約33%、両親とも違う場合は約5%、というデータもある。

●診断と重症度
「初診で上が140〜159mmHg、下が90〜99だった場合、日を改めて血圧検査と、他の臓器障害や合併症がないかをチェックします。そのうえで生活習慣の修正を行い、3カ月経っても下がらなければ降圧剤を処方します。初診で160/100以上なら1カ月生活改善を試みた後に、180/110以上なら直ちに降圧剤を開始します」
 この数字は外来時のもの。リラックスできる環境の自宅で測った場合は135/85が、高血圧か否かの目安だ。

●生活習慣改善の基本
 大きな柱は6つ。塩分を控える、酒量を制限する、有酸素運動をする、適正体重を維持する、野菜や果物を積極的に食べる、そして禁煙だ。
「漬物、練り製品、魚や肉の加工品は想像以上に塩分が多い。それらが入る幕の内弁当や麺類のつゆ、しょうゆを使う寿司など、和食は全体的に要注意です。薄味が物足りなかったら、七味やポン酢で味付けするなどの工夫を。イモ類や海藻類は、ナトリウムを排出して血圧を下げる効果のあるカリウムが多いので、積極的に食べましょう」
 アルコールは日本酒なら1日に1合、ビールなら中ビン1本、焼酎は100cc、ワインは250ccでストップだ。
「運動は“歩く”のが手軽に毎日できていい。タクシーやバスに乗らない、2駅手前で降りる、階段を使うなど、工夫して毎日30〜60分、少し汗ばむ程度に歩きましょう」

●効果を測定
 自宅で毎日血圧を測り、平常時血圧を知ることは基本。これをやっていれば、改善努力の効果もチェックできる。思ったような効果が出れば、張り切って続けられるし、効果がなければ、より自分に合いそうな改善策を試していけばいい。
「起床後1時間内と就寝前の2回、毎日同じ時間に測ります。手首や指先で手軽に測れる血圧計がありますが、30前後も誤差が出ることがある。比較的誤差が少ない、腕にカフを巻くタイプがお勧めです。リラックスした状態で、上腕部が心臓と同じ高さになるような姿勢で測りましょう」

●自分なりの工夫を
 基本的な改善策がうまくいかないなら、どんどん自分なりの工夫を加えていく。
 これが大事で、改善努力を続けられるかどうかのポイントだ。
「我慢しすぎると長続きしません。外食で塩辛いものを食べたかったら、その分自宅では薄味にする。また、同じ食材でも、すき焼きをしゃぶしゃぶに、筑前煮をてんぷらにするだけで、塩分は半分に減らせます」
 自分の生活習慣や好みを考え、手綱をゆるめたり絞ったりする。上手に塩分をコントロールすることが重要なのだ。

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