子犬を飼ったら動悸が消えた


「最近、ときどき動悸がするんだよ。特に会議中に起こる」と話すのは、玩具メーカーに勤める50代のSさん。「医者に相談したら、ストレス性のものだから、ストレスを上手に発散すれば良くなると言われた。でも何をしたらいいのかわからない」とママに話しました。するとママはこんなことを言いました。
「ペットを飼ってみたらどう? ペット療法は心疾患にとっても効果的なのよ。ペットの癒やし効果は絶大で、犬や猫の毛をなでているだけで、ストレスから解放されたり、血圧も下がるといわれているの。犬と散歩すれば運動にもなるし、試す価値はあるわよ」
 すると、Sさん、急に明るい顔になって――。
「ちょうど、女房とそんな話をしていたんだよ。もうすぐ定年。毎日2人きりっていうのもつらいなと思っていたんだ。早速、女房に話してみるよ」

 そして1カ月後。Sさんは店に来るなり、「ママ! ウチの娘だ。かわいいだろ!」と丸々とした子犬を自慢げに見せたのです。
「あれから女房と相談して、すぐにペットショップに行ったよ。そして、この犬と出合った。かわいくて仕方ないよ。ママの言うとおり、動悸もなくなった。おまけに夫婦仲も良好」と笑顔いっぱいで話したそうです。
 動物は想像以上に人の心と体を癒やす力を持っているようです。

 自営業の50代、Eさんは、不眠症で悩んでいました。「朝が早いから、9時頃には布団に入るんだけど、眠れない」と、疲れた顔でママに相談しました。するとママは、唐突に「熱帯魚を飼ってみたらどうかしら?」と言い、こう続けました。
「優雅に泳ぐ魚を眺めていると、心が安らいでくるのが分かるわよ。それに、水槽の青色の効果で心が落ち着き、深い眠りに導いてくれるのよ。Eさんは、リラックスすることが一番必要よ」
 Eさんは、だまされたつもりで熱帯魚を飼い始めました。数週間後、お店に来たEさんは、「魚にリラックス効果があるとは思いもしなかった。今は、毎日ぐっすり眠れるよ」とうれしそうにお礼を言ったそうです。

 腰痛で悩む40代の自動車メーカー社員のKさんは、「この腰痛を治すには、手術しかないかな」と投げやりにママに言いました。それを聞くとママは「Kさんは、猫を飼っているわよね。猫は自分がけがをした時、のどをゴロゴロ鳴らして、低周波を起こして、傷の治りを早めているそうよ。なんの努力もしないで、手術で治そうなんて甘いわよ」とピシャリ。
 それから数カ月後、再びお店に来たKさんは、別人のようにダイエットしていました。
「ママの言葉が効いたよ。あれから家に帰って、改めて猫を観察した。動物は、本当にけなげに生きているよな。それに比べてオレは、なんの努力もしていないなって思ったよ。だから今までやらなかった運動を始めた。そしたらみるみる腰がよくなったよ」と照れくさそうに話したそうです。“変則”ですが、これもペット効果ですよね。
 行き詰まったときは、無欲な動物に触れてみると、思わぬヒントや勇気を与えてもらえるかもしれません。ペット療法、ぜひお試しください。
(ナースライター・春藤陽子)

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