持病があるとがんを見逃す

症状がソックリでつい…微妙な違いを知り「ン?」と思ったらすぐ検査だ


せきが出て息苦しいときは…
 中年ともなれば、だれでも持病の一つや二つは抱えているが、その持病の症状ゆえに、がんを見逃しやすいのをご存じか? 実際はがんなのに、それとソックリの症状の持病があったため“持病の症状”と取り違え、がんを放置・悪化させてしまうのだ。なんとも厄介で怖いことなのだが、この2つを見分ける手がかりはないのか? 専門医に聞いた 。

●糖尿病【すい臓、肝臓がん】
 糖尿病の人は、やせて疲れやすくなると、「血糖値が高くなっているし、糖尿病が進行しているんだろ」と思いがちだが、すい臓がんや肝臓がんのことがある。
「すい臓がんになるとインスリンの分泌が悪くなって、血糖値が上がります。肝臓がんでも糖の代謝が悪くなって血糖値が上がります。食事療法や運動療法をやっているにもかかわらず血糖値が上がってきてやせるときは、これらのがんを疑って詳しい検査を受けてください」(かたやま内科クリニック・片山隆司院長)

●痔【大腸がん】
 大腸がんからの出血を、痔からのものと思い込む人は結構多い。出血に違いはないのか。
「痔からの出血なら、真っ赤な血がシャーッと出たり、排便時の紙についてきたりします。これに対し大腸がんからの場合は、うす黒い血が便の周りについたり、白い粘液と混じって出たりします」(平塚胃腸病院・平塚秀雄理事長)

●COPD【肺がん】
 COPD(慢性閉塞性肺疾患)は肺気腫と慢性気管支炎のこと。せきやたんが出て、息苦しくなってくる。
「肺がんもせきやたんは出ますが、COPDとの決定的な違いは、肺がんは“血たん”だということです。血たんが出たら、必ず肺がんのチェックを受けてください」(谷本内科クリニック・谷本普一院長)

●口内炎【舌がん】
 ただの口内炎なら、痛みはあるが1、2週間で治っていく。
「痛みを伴わない口内炎がなかなか治らず、周りが硬くなってきたときは、舌がんを疑って専門医を受診してください」(慶応病院口腔外科・朝波惣一郎助教授)

●歯肉炎【白血病】
 歯肉炎も白血病も歯肉から出血しやすくなるが、出血の仕方に違いがある。
「同じ歯肉からの出血でも、歯肉炎はドロッとした濃い血が出ます。白血病はサラサラした血液がたくさん出て、止まりにくいという違いがあります」(朝波助教授)

●前立腺肥大症【前立腺がん】
 おしっこの出が悪い、頻尿、残尿感などの前立腺肥大症の症状は、前立腺がんの症状と全く共通している。
「前立腺肥大症だと思っていると、実は進行した前立腺がんだということもありうるので、50歳以上の人はPSA(腫瘍マーカー)のチェックを」(神田医新クリニック・田原達雄医師)
 前立腺がんの90%以上は前立腺肥大症とセットというから要注意だ。
 くれぐれもがんを見逃さないように。

top>データベース4>