持病がよくなる歩き方

生活習慣病を改善予防

 歩くのにいい季節だ。中高年層を中心に、ウオーキング熱がますます高まっている。何しろ生活習慣病の運動療法として、「歩く」ことほどぴったりのものはないのだ。しかし、ただやみくもに歩けばいいというものではない。病気を改善したり予防したりするには、それに合った“歩行術”というものがある。そこで中京大学体育学部教授の湯浅景元氏に生活習慣病別歩き方を聞いた。

「サラリーマンが普段の日常生活の中で、例えば通勤時にもウオーキングを取り入れていくとすれば、バッグは手で持つのはやめてリュックか、肩からベルトで下げるカバンにしてください。靴もかかとは硬めで、つま先は柔らかめのウオーキングシューズタイプがいい。会社に肌着と靴下を置いておき、歩いた後は替えること。歩くと水分が出て体温が上がり血液が濃くなるので、家を出る前にコップ2、3杯の水を飲んでおくといいでしょう」
 では、いよいよ生活習慣病別の歩き方だ。

●糖尿病→さっさ歩き
 ポイントは3つだ。
 (1)できるだけ歩数を増やす(1日1万歩が目標)(2)心拍数が1分間に110〜130になるように速めのさっさ歩きをする(3)食後に20〜30分歩く。
「食後にできるだけ多くの歩数を歩くと、インスリンの分泌が良くなり、糖の代謝も改善されて血糖値が下がります。昼食後のコーヒーは場所を変えるとか、食後のトイレは1つ上の階のトイレに行くなどの工夫をして歩数を増やしてください」
 早い人なら2、3週間、平均1カ月で血糖値が下がってくるという。

●高血圧→だらだら歩き
(1)心拍数が1分間に70の人なら、80くらいになる程度のだらだら歩きをする(2)歩幅も小さめに、腕の振りも大きくしない(3)平坦な道を利用して15〜20分歩き続ける。
「15〜20分歩き続けると、手や足の血管が広がり血液の流れる場所が増えて、血圧が下がってきます。これを1日何回もやってください。これも早い人なら2、3週間、平均1カ月で収縮期血圧が5〜10は落ちます」

●高脂血症→ニコニコ歩き
(1)人と話ができる速度、心拍数が1分間に100〜120前後になる程度のニコニコ歩きをする(2)1回20分以上は歩き続ける。
「脂肪を主なエネルギー源としている遅筋をたっぷり使うためには、ニコニコ歩きのスピードくらいがいいのです。歩くのと同時に、ご飯を1日4、5回に分けて食べたり、飲んだ後のお茶漬けやラーメンは控えるなどの工夫をすると、コレステロールや中性脂肪はなお下がりやすくなります」

●心臓病の予防→きつめウオーキング
 1週間に1回、5分程度でいいから、1分間の心拍数が140〜150になるきつめのウオーキングをする。
「心臓を精いっぱい働かせることで、心臓に余力をつけて心臓病を予防するのが狙いです」

●骨粗しょう症の予防→ドスンドスン歩き
 歩いている途中に、左右交互に6歩ずつ、合計12歩でいいから、ももを高く上げて、地面を踏みつけるようにして歩くドスンドスン歩きを取り入れる。1日何回でもいい。
「男性の骨密度も、50歳を越えると一気に落ちてきます。骨芽細胞を刺激して骨にカルシウムを取り込むためには、骨に大きな力を加えてやることが必要です」

 目的別に意識して歩けば、効果絶大のウオーキングになる。

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