腸を鍛えて病気知らずの体になる

大事なのはまず食事


 腸が危ない時代といわれる。腸内環境が悪いと、腸の病気を引き起こすだけでなく、あらゆる病気を発症しやすくなることをご存じか? つまり、腸を鍛えて強くすれば、病気知らずの体になれるのだ。それにはどうすればいいのか。理化学研究所バイオリソースセンター・微生物材料開発室室長の辨野義己室長に聞いた。

 大腸がんが増え、過敏性大腸症候群に悩む人が多くなるなど、現代人の腸は危機に瀕している。腸は人の臓器の中で最も病気の種類が多い臓器といわれるが、それにしてもなぜ腸がほかの病気の“発信源”となるのか。
「大腸内で善玉菌が減り悪玉菌が増えて免疫力が低下してくると、アンモニア、アミンなどの腐敗物質や、細菌毒素、ニトロソ化合物などの発がん物質、二次胆汁酸などの有害物質が生成されます。これらは腸管を直接害するだけでなく、一部は吸収されて各種臓器に回って障害を与え、肉体の老化を早めます。その結果、肝機能が低下する、免疫力が低下して風邪をひきやすくなる、がんになりやすくなる、アレルギー性疾患を起こしやすくなるなどの弊害を招くのです」
 また小腸はそれ自体が免疫を担当する細胞を多く持つ人体最大の免疫臓器で、小腸が弱ると風邪をひきやすくなったり疲れやすくなったりするという。
 つまり小腸の免疫力を上げ、同時に大腸を善玉菌優位にして免疫力を上げてやれば、腸内環境が良くなり病気知らずの体にできるということだ。
「大腸には500〜1000種類の細菌がいて、善玉菌は2割、悪玉菌は1割です。残り7割は日和見菌で善玉菌優位になれば善玉菌に、悪玉菌優位になれば悪玉菌につきます。だから、いかにして善玉菌を多くして悪玉菌を抑えるかです」
 まず大切なのは食事だ。腸内の悪玉菌が悪さをするのは、動物性脂肪の取りすぎによるものといわれる。
「肉を食べるときは野菜を多くとるなどして、バランスのいい食事を実行してください」
 その上で、有用な微生物を含むヨーグルト、納豆、キムチなどを多くとること。
「ヨーグルトの乳酸菌は善玉菌であるビフィズス菌の繁殖・活動を助けます。ヨーグルトを1日200グラム以上取り続けてください」
 腸の免疫力をアップさせる食物繊維も必要だ。根菜類、イモ類を多くとること。また粘り気のある食品もいい。モロヘイヤ、納豆、海藻などだ。
 次に大切なのは運動だ。
「毎日ウオーキングをすれば、腸の動きは良くなるし、腸の周りの腸腰筋が鍛えられて排便もスムーズにいきます」
 3番目は上手なストレス解消だ。
「腸はストレスに敏感な臓器。ヨガなどをしてリラクセーションをしたり、趣味を楽しむなどをすれば、腸内環境を良くすることにつながるでしょう」
 腸内環境が良くなっているかどうかは、便の出具合でチェックできるという。
(1)便が気持ちよくストンストンと出る
(2)便の量はバナナ2、3本分(200〜300グラム)
(3)便がにおわない
(4)便が黄色か黄褐色だ
 この4つがそろえば、腸内環境は良好と考えていい。腸を鍛えて病気知らずになりたければ、まず便としっかり向き合えということだ。

top>データベース3>

医師に質問|mixi|症状別
美容院/エクステ|女性総合大辞典