高血圧、動脈硬化の治療はにんにくエキスで


 お母さんがにんにくを食べると、赤ちゃんがたくさん乳を飲むようになる。
 授乳2時間前ににんにくエキスを取ってもらった実験では、母乳の匂いが強くなり、赤ちゃんの乳を吸う時間が長くなって飲む乳の量が増えている。一方、ビールを1缶飲んでもらうと、これも母乳の匂いが強くなったものの、すべての実験例で赤ちゃんの飲む乳の量が減っている。赤ちゃんは自分の体によいものと悪いものを知っているのだ。
 にんにくは微量栄養素の宝庫で、それは赤ちゃんにとっても老人にとっても必要なものばかりだが、玉ねぎを除いて他の食品にはほとんど含まれていないものが、何十という種類の硫黄化合物である。
 その多種類の栄養素が中高年者にもたらす恩恵を挙げると、
(1)ガンを予防する。
(2)血中コレステロール値を下げる。
(3)血中中性脂肪値を下げる。
(4)血圧を下げる。
(5)免疫力を高める。
 ガンを予防する働きはどの程度かというと、アメリカ国立ガン研究所が発表したガン予防食品のリストでは、人参やセロリと同じ最も重要度の高いグループに入っている。できるだけ多く食事に取り入れるようにしたい食品なのだ。
 血圧を下げる働きは多数の研究で明らかにされているが、降圧剤と異なるのは、正常化の方向に作用する点である。
 低血圧の人は逆に血圧が上がる。そして、悪玉のLDLは減らして、善玉のHDLは増やす。だからLDLとHDLの比率が改善される。
 ドイツでは、にんにくを動脈硬化の予防・治療薬として認可しているが、特定の有効成分に対してではなく、全成分を含んだにんにくのエキスに対してである。
 そのエキスを用いた二重盲検法による試験では3カ月の服用で、平均値171/102の血圧が152/89に下がっている。
 その試験で注目されたのは、テスト期間中ににんにくの効果がだんだん大きくなっていった点である。にんにくを取りはじめて1カ月目よりも2カ月目のほうが効果が大きかったのだ。そして、3カ月目はもっと効果が大きくなった。
 試験に用いられているにんにくエキスの摂取量は1日600ミリグラム。それは生のにんにく10〜20グラムに相当するので、高血圧の改善にはサプリメントでにんにくエキス錠を取ることが勧められる。

●丸元淑生(まるもと・よしお) 1934年、大分県生まれ。東京大学文学部仏文科卒。作家、栄養学ジャーナリスト、料理研究家。

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