体の不調は漢方で治す


 生命の息吹が感じられる春だが、この時季は、人事異動などによるストレスもあって、医者にかかるほどではないが、何となく体調がよくないという人が多い。そういうときは漢方が出番だ。中国医学でいう五臓とは「肝」「心」「脾」「肺」「腎」をさすが、春は精神的ストレスから主に「肝」を痛めやすいという。そこで症状別に、「1週間で効果が出る漢方薬」を長春中医学院客員教授の猪越恭也氏に挙げてもらった。

●体がだるい 
「肝」がトラブっているための代表的な症状。「肝」を強くする漢方薬が必要だ。
「疲れをとり元気を出す漢方薬には、田七人参(でんしちにんじん)がいい」
 春の体のだるさには目の疲れが伴いやすいが、特にパソコンをやる人の場合は、杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)だ。
「あわびの貝殻を煎じたエキスである石決明(せつけつめい)製剤も、だるさと目の疲れを同時にとってくれます」
「肝」「腎」を強化する食べ物を積極的にとると、効果は倍増するという。
「肝を強化するのはニラ、ネギ、カボチャ、トマトなどの緑黄色野菜。腎を強化するのはヤマイモ、納豆、ナメコなどのネバネバしたものや黒ゴマ、玄米、黒豆、シイタケなどの黒い食べ物。良質タンパク質であるレバーや、イワシ、アジ、マグロなどの背の青い魚は、肝と腎を同時に強化し増血し血行を良くしてくれます」
●精力が減退してきた
「肝」「腎」ともに衰えてきているので「肝」「腎」両方を強化することが必要だ。
「同じ精力減退でも、疲れやすく冷えて血圧が高くないタイプには参茸補血丸(さんじようほけつがん)、冷えずあるいは血圧が高めでもよいのが杞菊地黄丸です」
 精力を増強する食材にはニラやカキなどがある。
●眠れない
「肝」と「腎」に問題があることが多いが、不眠のタイプによって使う漢方薬が異なる。
 まず疲れているのに眠れないタイプには、酸棗仁湯(さんそうにんとう)がいい。
「肝の働きを良くして脳に栄養を送り、昼間眠くならず夜はぐっすり眠れるという、いい睡眠リズムをつくり出してくれます」
 夜、床に入って寝ようとすると、動悸がしたり耳鳴りがしたりして眠れなくなる人は、天王補心丹(てんのうほしんたん)がおすすめだ。
「腎を強化して脳の働きを良くし眠りを正常にしてくれます」
 疲れはしないが興奮して眠れないというタイプには、柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)がおすすめだ。
「肝の興奮を鎮静させれば、同時に脳も鎮静してきます」
●気分が憂うつ
「肝」の働きが落ちると、精神的に落ち込んで悶々としてくるという。
「体が疲れやすくて落ち込む人には、逍遥散(しょうようさん)がおすすめ。この漢方薬は肝の働きを正常にして脳に栄養を送り、脳の働きを正常化します。一方、体は疲れないがイライラして怒りっぽくなる人には柴胡加竜骨牡蠣湯が、わけもなく悲しくヒステリー気味になる人には甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)がいい」
 つらいことがあっても、できるだけ気持ちを明るく持つことは、「肝」の働きを良くするという。チョコレートなどの甘いものや、酢の物などの酸っぱいものなどは精神安定効果がある。
●食欲がなくなる
 食欲不振は「肝」の緊張のために、胃腸の働きが抑制されている状態だ。
「食欲がなく下痢と便秘を繰り返すタイプには逍遥散、食欲がなく胃が痛む人には開気丸(かいきがん)をおすすめします」
 どの漢方薬も1週間くらいで効果を発揮する。その後やめていい場合もあるし、もう少し続けた方がいい場合もある。自分がどれに該当するかは、中国医学を専門とする薬剤師に相談するといいという。

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