「低い」と怖い監査数値
低いほどいいと思ったら大間違い
人間ドックや健診で異常ありとされるのは、数値が基準値を超えた場合が大半を占めている。そのせいか、検査の数値は低いほどいいと誤解している人も多い。しかし検査数値は低くても問題になる場合がある。何が低いときに、どんな危険があるのか。国際医療福祉大学付属三田病院の渡辺清明検査部長に聞いた。
●総コレステロール値が低い
コレステロール値が高くて、焼き鳥のレバーなど好きな食べ物を我慢している人は多いが、低いのも怖いのだ。
「総コレステロールの基準値は130〜219mg/dlですが、これを超えて220〜300の人よりも、逆に129以下の低い人の方が心筋梗塞を起こしやすいという日本循環器学会の報告があります。高いよりも低い方が危ないのです」
心筋梗塞のリスクは、総コレステロール値が低い、高い、正常の順になるのだ。
また総コレステロール値が低いと、肝硬変や甲状腺機能亢進症の恐れもある。
「AST(GOT)やALT(GPT)の結果と照らし合わせたり、血液検査で甲状腺ホルモンの量を測定してみる必要があります」
●血糖値が低い
血糖値が高くなると糖尿病が心配だが、低ければ“安泰”というわけではないのだ。
「空腹時血糖値の基準値は79〜109mg/dlですが、これが60以下になったら、例えばすい臓にインスリノーマという腫瘍ができている可能性もあります」
血糖値を下げるホルモンであるインスリンは、すい臓のβ細胞から分泌されるが、インスリノーマはこのβ細胞にできる腫瘍。そのためにインスリンがどんどん出て血糖値が低くなるのだ。
●体重が減ってきた
肥満は生活習慣病の元凶だが、だからといってやせてりゃいいってものでもない。
「身長(メートル)×身長(メートル)×22で求める標準体重より重かった体重が、生活習慣は変えていないのに減ってきたら要注意です。がんが潜んでいたり、糖尿病や甲状腺機能亢進症にかかっている疑いがあります」
血糖値や甲状腺機能に問題がなければがんのチェックを。体重減少が目立つがんには、大腸がん、肺がん、胃がんなどがある。
●ヘモグロビンが少なくなってきた
ヘモグロビンは赤血球に含まれるタンパク質と鉄から作られるもの。ここに含まれる鉄に酸素が肺で結びつき全身に運ばれていく。男性のヘモグロビン値の基準値は13.0〜16.9g/dlだが、これが11以下に落ちてきたら要注意だ。
「血液中のフェリチンを測定してもらって少なければ、鉄欠乏性貧血。この場合は鉄分の補給で良くなります。しかし鉄欠乏性貧血でない場合は、慢性出血性貧血が考えられます。男性の場合は、痔、大腸がん、胃潰瘍のことが多いので、これらの病気をチェックする必要があります」
●血液中の総タンパクが少ない
血液中の総タンパクは全身の栄養状態を表す。栄養状態が良すぎて高すぎるのも生活習慣病の一因になるので良くないが、低いのも問題になる。基準値は6.4〜8.0g/dlだが、これが6以下になると要注意だ。
「全身の栄養状態が悪い栄養不良。そうでなければ肝硬変やネフローゼ症候群の疑いがあります」
血液中のタンパク質にはいろいろあるが、特に重要なのはアルブミンだ。
「アルブミンは肝臓で作られるので、肝硬変になると減ってきます。またネフローゼ症候群では、腎臓から尿タンパクとなってアルブミンが体外に排出されるので、血液中のアルブミン値が低くなるのです」
低ければいい、少なければ大丈夫という思い込みは捨てることだ。
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