大腸がんになりやすい潰瘍性大腸炎の必須知識
急増! 年間5000人が発症
潰瘍性大腸炎が急増している。難病指定の炎症性腸疾患で、文字通り大腸に潰瘍やびらんができるものだが、毎年5000人が発症、患者数はざっと10万人に上る。この10年で約3倍に増えた。しかも発症してからの年数が長くなるほど、大腸がんを合併する率が高くなるというから怖い。慶応病院内科の桜庭篤医師に聞いた。
潰瘍性大腸炎で最も怖いのは、大腸がんとの合併だ。罹患(りかん)年数が長いほど、腸の炎症が重症であるほど、大腸がんを合併するリスクが高い。
「炎症を起こした腸から、正常の細胞とは異なる異型性のある細胞が出てきて、大腸がんとなるのです」
英国の報告だが、罹患年数が10年で2%、20年で8%、30年で18%が大腸がんになるとのデータがある。
発症年齢の一番大きなピークが20代前半にあることを考えると、50代で大腸がんになる人は相当な数に上るのだ。
45歳のAさんは25歳のときに潰瘍性大腸炎を発症。「再燃」と「寛解」を4回繰り返した。定期的に大腸の内視鏡検査を受けていたが、直腸からS状結腸にかけて異型性を伴う病変が検出された。検査の結果、大腸がんと診断され、手術(全大腸切除術)を受けた。
「大腸がんの有無をチェックするために、潰瘍性大腸炎の発症後8年を経過したら、年1回は大腸内視鏡検査を受けていただいて監視していくことにしています」
潰瘍性大腸炎の症状は、下痢、血便、腹痛、発熱などだ。
「多い人は1日10回くらい、腹痛を伴った下痢便が出ます。下痢便の中に赤いドロッとした粘血便が混じっています。サラリーマンなら会議中や接客中にもトイレに立たなくてはならないこともある、つらい病気です」
潰瘍性大腸炎には、炎症が直腸にとどまる直腸炎型(約25%)、結腸にまで広がる左側結腸炎型(約35%)、炎症が大腸の奥の方まで広がる全大腸炎型(約35%)がある。
「最初は直腸炎型で始まり、再燃したときには左側結腸炎型になっているケースがあるし、逆に、最初は全大腸炎型で始まり、再燃したときには直腸炎型になっているケースもあります。良いときと悪いときを、数カ月とか数年単位で繰り返す再燃寛解型が6、7割を占め、2割くらいが慢性持続型、残りの1割は幸運にも1回だけですむ初回発作型です」
治療法はどうなっているのか。
急性期にはまず炎症を抑える薬サラゾピリンやペンタサが用いられる。それで効かない場合はステロイドだ。
これらの薬が効かない重症のケースに行われている最新治療が、白血球除去療法だ。
「白血球除去療法は、血液を一度体外に出し、血液浄化器で炎症の原因となる一部の白血球を除去し、浄化された血液を再び体内に戻す治療法です。点滴治療を受けるときのように、ベッドに横になって治療を受けていただきます」
通常1回1時間、週1回ずつ5〜10週間を1クールとして治療する。有効率は70%だ。
潰瘍性大腸炎の原因は不明なので、予防法はないが、発症したら、少なくとも急性期は脂肪分の多い食事やアルコールは控えた方がいいという。
「適切な治療をしっかりしておけば、炎症が治まって症状がない寛解期を長く維持できます。また年1回大腸内視鏡検査を受けておけば、大腸がんになったとしても早期発見ができます。9割は通院でコントロールが可能になってきている病気なのです」
難病といえども、早期発見と根気強い治療で乗り切っていける可能性が高い病気なのだ。
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