セックスはここに要注意

健康のためにはいいけれど…

「この前、自分がどのくらいセックスしてないんだろって考えたら恐ろしくなった。半年以上してないんだよ」と話しているのは、50代の商社マンTさん。「確かに性欲は落ちたって思うけど、こんなにしてないのも体に悪いよな」と寂しそうでした。
 一緒に来ていたKさんも「おれはこの間、海外出張のときに風俗に行ったよ。久しぶりにセックスしたら動悸(どうき)がしたよ」と笑いました。「お互い年だな。じゃ、このあと風俗にでも行こうか」と2人は盛り上がっていました。
 このやりとりを耳にしたママが、2人の席にやってきて言いました。
「定期的にセックスしている男は、うつ病になりにくいというデータもあるのよ。健康のためにセックスはちゃんとしたほうがいいわよ」

 さらにママはこう“講義”したそうです。
「だからといって、浮気相手とのセックスで張り切りすぎて、心筋梗塞や脳卒中なんか起こさないでね。浮気相手とセックスするときは、騎乗位が無難よ。それに、浮気相手とセックスすると精子が濃くなるから、避妊もきちんとしなきゃだめよ」
 この話を聞いた2人は、お店の帰りにコンドームを買い、奥さんと久しぶりにセックスしたそうです。ただ、後日談によると“奥さんの騎乗位は重くてダメ”とのことでした。しかし、翌日から奥さんの機嫌がとってもいいそうです。

 セックスと病気・体調異変については、こんなお客さんもいたそうです。50代のメーカー課長Nさんは、高血圧と糖尿病の治療中。にもかかわらず「おれが死ぬときは、女の上」と店に来るたびに話すほどの女好き。そんなNさんが、ある日、狭心症の発作を起こしたのです。場所は自宅――。
「エッ!? 奥さんの上で!?」とママは二重に驚いたのですが、真相は違いました。「買ったばかりのエロ本をお風呂場に持ち込み、夢中になっていたら、水でシャワーを浴びてしまったんだよ。そしたら、急に胸が痛くなって、驚いて妻を呼んだんだ」というのがNさんの後日談。
 それでも懲りた様子のないNさんに、ママはきつく言ったそうです。
「エロ本に夢中で水シャワー浴びるなんてサイテーだけど、脱衣所を暖かくし風呂場との温度差をなるべくなくすようにしないと、また発作を起こすわよ。女遊びをして、暖房の効いた部屋から寒い外に出るときも、マフラー、コート、手袋を身につけてから出ること」
 Nさんは黙ってうなずいていたそうです。

 さすがのママが「まいった」と呆れた人がいます。30代の常連客、外科医のTさん。ほかにお客さんがいない時、Tさんはママや女の子にこんな話をしたのです。
「大きな手術をしたあとは、セックスがしたくなるんだよ。でも手術は冷えた床に何時間も立ちっぱなしだから、腰が痛くてたまらないんだ。それでも、愛人のナースのところに飛んで行って、セックスをしていたよ。しかし、ある時、セックス中に、ぎっくり腰を起こして、愛人のナースに、仲のいい整形外科の医者を呼んできてもらったことがあってね」
 それでも懲りないT医師は、駆けつけてくれた整形外科医に「どうしても続きがしたい。おまえなら分かるだろ」と懇請。痛み止めの注射をしてもらって、愛人のナースとの“続き”を楽しんだというのです。
 セックスがからむと、男性は突拍子もないことをやるんですね。でも、そんなに好きなセックスをずっと楽しみたかったら、セックスにはいつも細心の注意を払い、決してムチャをしないこと、ですよ。
(ナースライター・春藤陽子)

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