持病で急死する前兆
死に直結するサインを見逃すな
持病はいつも安定した状態で推移するとは限らない。急激に悪化して、たちまち急死してしまうこともあるのだ。そんな目に遭いたくなければ、その“前兆”に素早く気づき、手を打つ必要がある。どんな前兆が出てきたらヤバイのか。専門医に持病別に聞いた。
【狭心症】
●運動時だけに起こっていた胸痛が安静時にも起こるようになり、頻度も増えてきた
●急いで歩くと息切れしやすくなった
●時々強い動悸を感じる
●脈が速くなったり遅くなったりしてふらつくことがある
「これらの症状が重なって起きてきたら、狭心症が、心筋梗塞の一歩手前である不安定狭心症に移行しつつあるサインです。これが起きると1カ月以内に、高い確率で心筋梗塞を起こし、心筋梗塞になると3分の1はそのまま死にます。不安定狭心症が起こってきたら、急いで病院を受診し入院して治療を受けることが必要です」(九段クリニック・阿部博幸理事長)
不整脈(期外収縮)
●突然トッ、トッ、トッと脈が速くなり、冷や汗が出て、クラッとめまいがして気が遠くなった
「過労になると脈が飛ぶ期外収縮(不整脈)の頻度が増し、こうした症状が出てきたら、突然死を起こす心室細動や心室頻拍が起こってきた可能性が大。救急車を呼んで病院に行き、心筋に電気ショックを与える電気的除細動を受けねばなりません」(阿部理事長)
【慢性すい炎】
●暴飲暴食の後、急にみぞおちから背中にかけて激痛が走り、下痢も起こってきた
「慢性すい炎が急激に悪化して、急性すい炎を起こした状態です。急性すい炎はすい臓の酵素がすい臓自体を“自己消化”してしまう病気。炎症がひどくなってすい臓の細胞が壊死に陥ると、重症急性すい炎で死に至ることがあります」(井上外科胃腸科病院・井上毅一院長)
できるだけ早く病院に行き、すい臓を保護する治療を受けなければならない。
【アルコール性脂肪肝】
●取引先との会合で連日ハシゴ酒。急に体がだるくなりトイレに行くと、尿がウーロン茶のような色に。熱もある
「連続飲酒発作といわれるアルコール性肝炎が起こって、黄だんが出ている可能性が大。即入院して肝臓を回復させる集中治療を行わないと死に至ることがあります」(井上院長)
【心房細動】
●急に胸が苦しくなって動悸がし、しゃべり方がおかしくなってきた
「心房細動という不整脈のために心臓にできた血栓が、脳に飛んで脳梗塞を起こしつつある状態と考えられます。至急脳外科で治療を受けないと命が危ぶまれます」(くどうちあき脳神経外科クリニック・工藤千秋院長)
【脳動脈瘤】
●物が二重にダブって見え出した
●急に吐き気がし、薬を飲んでも良くならない頭痛がする
●急に声がかすれてしゃべりづらくなり、物ものみ込みにくくなった
「脳ドックなどで脳動脈瘤があると指摘されている人に、これらの症状が起こってきたら、血圧が上がり脳動脈瘤が破裂寸前になっているサインです。物がダブって見えるのは、大きくなった動脈瘤が目を動かす動眼神経を圧迫するためだし、吐き気や頭痛は動脈瘤が少しだけ破れたために起こる。物がのみ込みづらくなるのは、脳幹のすぐ近くにある椎骨脳底動脈瘤が、物をのみ込む神経を圧迫するからです」(工藤院長)
放置すると動脈瘤が破裂して突然死の危険が高まる。すぐ脳神経外科へ。
持病と上手に付き合うには、こういうことも知っていなければならないのだ。
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