ストレスためない“隠しワザ”

“うっぷん晴らし”のアノ手コノ手を紹介

 商社に勤める40代のMさんは、誰からも好かれることで有名です。そんなMさんが医務室に暗い顔でやってきました。「最近、なにをしても楽しくありません」と話し始めたのです。
 それを聞いて、医師が「Mさんはとってもいい人だと、医務室でもよく耳にします。でも、本当は、かなり無理しているのではないですか?」と言うと、涙を浮かべながら「ずっと、いい人でいなきゃと自分にいい聞かせながら頑張っていましたが、最近、限界を感じてきて……」と打ち明けました。
 そんなMさんに、医師は優しく「いい人ほど、がんになりやすいのはご存じですか? 常に無理をしていると免疫細胞の働きが弱まり、がん化しやすいのです。いい人でいる必要はありませんよ」とアドバイスし、こう続けました。
「一日の中で起こった嫌なことは、その日のうちに消化してしまうのが一番です。誰にも話せないのなら、思いっきり紙に書き出して、その紙を燃やすとすっきりしますよ」

 それから1週間後、再び医務室を訪れたMさんは、以前の優しい顔で「先生に教えていただいた方法、実に快感です。最近は、太いペンで書くほどすっきりすることに気付いて、毎日嫌だったことを書き出して燃やしています」と報告したそうです。上司に叱責されたこと、部下が自分を小ばかにしたことなどを紙に書いては燃やしておられるのでしょうか。
 実は、私もこの方法をマネしてやってみたら、想像以上にすっきりしたのでビックリしました。火の始末に気を付けて、ぜひ試してみてください。
 というわけで、知り合いのサラリーマン何人かに聞いてみたら、Mさんのように自分流のうっぷん晴らしの“隠しワザ”をお持ちの方が結構いらっしゃったのです。
 証券会社に勤める40代のFさんは、まずお酒を飲んで、それからゲームセンターに繰り出す。特にお薦めなのは、音楽に合わせて太鼓をたたくゲームで、「むかつくやつの顔を思い出して、太鼓をバンバンたたくと快感、快感。うっぷん晴らし、ストレス解消に最高だね」と教えてくれました。

 意外なのはプリクラです。プリクラを仲間と一緒に撮ると、おなかを抱えて笑ってしまうくらい楽しいそうです。「最近のプリクラは、すごい加工ができるので面白い。飲んだ記念にもなるので一石二鳥」とのことでした。
 電機メーカー勤務、50代のTさんのやり方は、独特でした。
「お風呂に入ったとき、お湯に潜って、“○○のバカヤロー!”などと怒鳴ります。思いっきりうっぷんを吐き出したあと、湯から顔を出すとスッキリです。ただし、コツがあって、息と言葉を一気に吐き切ること。家族がいる場合は、おぼれたのかと心配して駆け付ける場合もありますから気をつけて」

 なるほど。お湯の中なら、どんなに怒鳴ってもうるさくなく、安心ですからね。
 紹介した方法は全部試してみました。特にゲームセンターは、久しぶりだったせいもあり、異常なくらい楽しめました。そして、プリクラは、思っていた以上にテンションが上がり、すっかりはまってしまいました。“湯船潜水怒鳴り”は、お手軽な上に、ダイエットにも効果的だと思います。
 とにかく、嫌なことはため込まず、その日のうちに吐き出す自分流のワザを持ってください。そうすれば、ストレスにやられて体調を崩すこともなくなりますよ。(ナースライター・春藤陽子)

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