夏だってグッスリ寝られる

良質の睡眠をとるポイントと工夫


 熱帯夜は寝苦しい。何度も寝返りを打ち、熟睡できないままに朝を迎えることも多い。それが夏バテにつながり、どんどん体調を崩していくことになる。そこで、夏本番でも“良質の睡眠”をとるためのポイントと工夫を紹介しよう。

●高温と多湿を解消
 夏の寝苦しさの2大原因は、「高温」と「多湿」だ。これを解消すれば快眠につながる。
「睡眠中は体温が下がるようになっていますが、高温多湿だと下がりにくい。そこで室温と湿度を適度に保つよう睡眠環境を整え、体熱をうまく逃がしてやるのが、快眠の秘けつです」(白根緑が丘病院・佐野英孝院長)
 具体的にはどうすればいいのか。「フランスベッド」スリープ研究センターの田中宏和所長が挙げるポイントは、以下の通りだ。
 (1)就寝時のクーラーの室温設定は25〜27度にする。そしてタイマーを使って3時間後に切れるようにする。湿度は50〜55%がベストだ。
「睡眠は1サイクル90分単位ですが、深い睡眠が得られるのは、最初の2サイクル。この時間帯に室温を下げて、体熱を逃がしやすくしてやるのがコツです」
 寝室がジメジメするようだったら、就寝前にクーラーで15〜30分間「除湿」をかける。
 (2)布団はできるだけ日に干す。布団の中が乾燥すれば汗を吸収しやすくなる。(3)汗を吸い取りやすい綿のパジャマや下着をつける。(4)頭部を少し冷やす夏用冷却枕を使うのも一つの手だ。

●運動
 暑いからといって外に出て体を動かさないのは、睡眠にとっては逆効果だ。
「朝起きてまだそんなに暑くない時間に外に出て、日の光を浴び、15分くらいウオーキングを。覚醒レベルが高まり、その反動で夜の寝つきが良くなります」(佐野英孝院長=前出)
 事務職で、一日中冷房のきいた室内で仕事をする人は、昼間は外に出て公園などで軽いストレッチを。

●はすの実とスイカ
 薬膳料理でよく使われるはすの実(蓮子)は、スイレン科のハスの成熟果実。
「内臓諸器官を補い、精神不安をとって寝つきを良くする作用があります」(フードセラピストの丸茂ゆきこ氏)
 例えば夕食のメニューの一品に「はすの実入りれんこんとこんぶのスープ」などを加える。お茶などに、はすの実を入れて煮出して飲むのもいい。
 スイカには体熱を冷ます作用があるので、夜寝る前にスイカジュースを。
「スイカの果肉300グラムと梅酢小1を入れてミキサーにかけるだけでOKです」(丸茂氏)

●入浴と酒
「夜帰宅後は38〜39度のぬるめの湯に10〜15分つかってリラックスし、涼んだ後に床に就くと、スムーズに入眠できます」(佐野英孝院長=前出)
 風呂は熱すぎると交感神経が高まるので、かえって寝つきが悪くなる。
 酒は日本酒で1合程度の量なら、リラックス効果が得られて寝つきは良くなる。ただし大量に飲むと、アルコールの薬理作用で睡眠は浅くなるので逆効果だ。
 以上のような工夫を実行していけば、つらい“夏の不眠”は解決。元気に夏を乗り切れるはずだ。


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