「老化」か「病気」かの判定ポイント
目、鼻、口、のどの変化も見逃すな
若いときと比べて歩くスピードが落ち、仕事が立て込んでも徹夜などとてもできない。“オレも年だな”と感じるのはそんなときだが、老化は目、口、鼻、のど、血管などにも表れる。
しかも病気との鑑別がなかなか難しく、病気を見過ごし手痛いシッペ返しを食らうことも少なくない。「老化」か「病気」かを、どう判定すればいいのか。専門医に聞いた。
●血圧が高くなってきた
40代までは低血圧だった人が、50代に入って血圧が上昇してくるというのは珍しいことではない。
「塩分摂取量の多い人ほど、また動脈硬化が進んでいる人ほど、血圧は上がりやすい。これは生理的老化の範疇(はんちゅう)に入りますが、血圧値が上の収縮期血圧で140以上、下の拡張期血圧で90以上(いずれかまたは両方)に上がってきたら、高血圧症というれっきとした病気です」(中谷内科クリニック・中谷矩章院長)
血圧は常に変動するから、日を変えて3日、食前などに血圧を測定して平均値を出す。
●イビキをかくようになった
加齢とともに体の筋力は衰えて脂肪がついてくる。イビキは睡眠中の上気道の呼吸に伴う摩擦音で、上気道に脂肪がつき、のどの筋力が弱ると、イビキの回数は増えてくる。これは老化に伴うもの。
「同じイビキでも、ゴーッというものすごい音を発し、ベッドパートナーから“時々呼吸が止まる”と指摘されたら、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。朝起きても熟睡した感じがしないとか、昼間異常な眠気に襲われるなら、その可能性はさらに高まります」(東京慈恵会医科大学精神神経科・山寺亘講師)
●目がかすむ
遠くはよく見えるが、手元の新聞の文字がかすむのは、一種の老化といえる老眼だ。
「遠くも近くもかすむなら、白内障の可能性があります。視野の一部が部分的にかすむなら緑内障、見ようとする物の周りはよく見えるのに中心部がかすむなら加齢性黄斑変性症の疑いがあります」(井上眼科病院・井上治郎理事長)
●口の中が乾く
「年をとると、唾液腺が少し弱ってきたり、性ホルモンの分泌の減少の影響で、唾液の分泌は少なくなります。しかしこれだけが原因なら口の中がネバネバする程度。一日中のどが渇いてペットボトルを手放せない、口の中が乾いて人と話すのがおっくう、口臭がきついといわれるなどの症状が出てくると、本格的なドライマウスの疑いがある。高血圧など生活習慣病の薬を飲んでいる、ストレスが強い、軟らかいものしか食べず口の筋力が弱ってきているなどが、複合要因として考えられるのです」(鶴見大学歯学部・斎藤一郎教授)
●においを感じる力が落ちてきた
嗅覚(きゅうかく)も加齢によって少しずつ落ちることがある。
「しかし急にコーヒーやみそ汁の風味、花の香りなどがわからなくなってきたら、話は違います。においのセンサーである嗅粘膜を風邪のウイルスが障害したり、慢性副鼻腔炎などによる鼻づまりでにおいの分子が嗅粘膜に到達しにくい状態と考えられます」(兵庫医科大学耳鼻咽喉科・阪上雅史教授)
ひょっとしたら病気か……と不安な人は、検査を受けチェックしよう。
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