緊張型頭痛 原因になるストレスを和らげる


 日ごろよく経験する頭痛にはいろいろな種類があるが、最も多いのが全体の3分の2を占める「緊張型頭痛」だ。精神的、肉体的ストレスで、肩から首にかけての筋肉が緊張し頭痛を起こすが、どんな対策をとればいいのか。

【OA操作の姿勢】
「人間は、スイカ1個分の重さがある頭を、後頭部、背中、腰の周りなどにある抗重力筋で支えています。姿勢が悪いとこの抗重力筋がアンバランスになって緊張型頭痛が起こってきます。特に前かがみになりやすいOA操作のときには、姿勢に注意してほしいですね」(日赤医療センター脳神経外科・鈴木一郎部長)
 机の高さは肘を曲げたときに肘が90度の角度になる高さ。いすの高さはかけたときに両足が床に着いた状態になるといい。目とパソコン画面の距離は40〜50センチで、パソコン画面に対して目線がやや下に行くようにする。目を疲れさせないようにすることも大切だ。眼精疲労から頭痛が起こることもある。
「コンピューター画面に焦点を合わせたOA専用のメガネを作りましょう」(鈴木部長)

【ストレッチと温熱療法】
 ストレッチや温熱療法で首や肩の血流を良くすると、緊張型頭痛の軽減につながる。まず座ったままできる簡単ストレッチを紹介する。
●首を左右に倒す
 左手を頭にのせゆっくり首を左側に倒す(20秒)。右手を頭にのせゆっくり首を右側に倒す(20秒)。各10回繰り返す。
●両肩を上下させる
 両肩を持ち上げストンと落とす。20回行う。
●伸びをする
 30分に1回は両手を上げて大きく伸びをする。
「筋肉が伸びて気持ちがいいという感覚を味わってリラックスを」(鈴木部長)
 温熱療法で手軽なのは、痛みやこりを感じたときに、使い捨てカイロをタオルで包んで首に巻く方法。首がジワッと温まる。入浴も効果的だ。
「39〜40度のぬるめの湯にゆっくりつかると、血行が促進され、頭痛の軽減、予防になります」(鈴木部長)

【推拿療法】
 推拿(すいな)療法とは古くから伝わる中国伝統医学の整体術だ。頭痛に効く推拿療法を東京中医学研究所の孫維良所長に指導してもらおう。
(1)まず楽な姿勢でいすに座り、軽く目を閉じゆっくり腹式呼吸をしながら両手のひらをこすり合わせる。
(2)手のひらが温かくなったら両手の中指の先で、首の後ろ、髪の生え際にある風池というツボ(くぼんだ部分)を押す。真っすぐではなく、右中指は左目の方向、左中指は右目の方向に30秒間ほど徐々に力を加えて押す。
(3)次に両手の指を組み合わせて首の後ろに回し、親指の下の肉が盛り上がった部分で首をはさみ、持ち上げるようにして首をもむ。

【薬】
 痛みが我慢できないときには、頭痛薬を用いる。
「緊張型頭痛には、消炎鎮痛薬、筋弛緩薬、抗不安薬などが用いられます」(鈴木部長)
 慢性的な痛みを少しずつ改善していきたいという場合には、漢方薬を使う手もある。
「体格がよくて元気のある“実証の人”には葛根湯、やせぎみで胃腸の弱い“虚証”の人には半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)、血圧が高い人には釣藤散(ちょうとうさん)がいいでしょう」(鈴木部長)
 まず、自分で実行できることからやって、うっとうしい頭痛を撃退しよう。

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