危ない病院、医者 ここで見抜く

命に関わるだけにきっちりチェック

 病院や医者の選択を間違えると、治る病気も治らない。いや、へたをすると医療ミスや医療事故に“遭遇”し、命に関わる恐れさえある。いまや“危ない病院”“危ない医者”を見抜く力がないと、無事に生きていけない時代なのだ。そこで「行ってはいけない病院」(PHP研究所刊)の著者で医師・ジャーナリストの富家(ふけ)孝氏に、だれにでもできる簡単な見抜き方を挙げてもらった。

●経歴を聞くと不機嫌になる医者
 患者が医者に質問してはいけない時代が長く続いたが、今は違う。
「少なくとも自分や家族の手術を担当する医者については、出身大学や専門科目、症例数など基本的な情報を教えてもらうべきです。自分の腕に自信がある医者なら、ちゃんと答えてくれます。これに答えず子供じみた対応しかできない医者なら、代えるべきです」

●「様子を見ましょう」と言い続ける医者
 明確な診断ができていない証拠なのに、ほかの医者へは回そうとしないタチの悪い医者だ。
「例えば、なかなか治らない風邪症状には、肝炎や白血病が潜んでいることがあります。こんな医者にかかっていると、重大病を見逃されて命取りになることがあります」

●待合室に感謝状や賞状をやたら飾っている医者
「自分の権威を自慢したがる医者は要注意。感謝状や賞状をたくさんもらっている医者が名医や良医というわけではない。医者の技術とは全く関係がないので、だまされないようにしましょう」

●愛想が良すぎる医者
「かかりつけ医は基本的に親切で丁寧な医者が望ましいのですが、親切すぎるのは要注意です。医者としての腕のなさなどのマイナス面をカバーしようとしているだけかもしれないのです」

●不相応な機器をどんどん導入している病院
 病院の“体力”に合わない高価な医療機器の導入は、病院の経営を圧迫する。
「借りた金は返さなければならないので、借金返済のために必要のない薬を処方したり、ひどい場合は手術をして稼ごうとすることもあります」

●従業員がよくやめるクリニック
「従業員がよくやめるのは、経済的な面も含めて待遇が悪いから。そういうクリニックに限って、医者の家族はぜいたくに着飾っていたりする。仁術としての医療より算術としての医療稼業を優先して考えている危険性がかなり高い。患者も算術の対象としてみられるので、過剰な検査や投薬をされる恐れありです」

●やたら薬を出す医者
 日本の医療は“出来高払い”。薬を出すほど儲かる仕組みになっている。
 特に高血圧、糖尿病、高脂血症など、毎日薬を飲み続けなければいけない生活習慣病患者を抱えると儲かる。
「ろくに食事療法や運動療法などの生活指導もせず、血圧値、血糖値、コレステロール値が基準値より少し高いだけですぐ薬を出す医者は、儲け主義の医者と考えるべきでしょう」

●すぐに手術をしたがる医者
 例えば脳の動脈瘤は、手術するかどうか十分な検討が必要な病気だ。
「直径10ミリ以下の脳動脈瘤が破裂する確率は年0.05%なのに対して、手術で後遺症が出る確率は4%。こういうことについての十分な説明もなく、すぐ手術に持っていこうとする医者は、手術で儲けようとしていると考えるべきです」

●カルテを出してくれない医者
 セカンドオピニオンを受けたい患者がカルテを請求しても出ししぶる医者は、何か不都合があると考えるべきだという。
「手術ミスがあったり、投薬に過ちがあったりする可能性もあります」
 30年前に比べ医者は2倍以上に増えている。それだけヤバい医者も増えているわけだから、シビアなチェックが不可欠なのだ。


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