性感染症 これだけは知っておけ!

ボーナスシーズンは最大の危機

 バイアグラの登場以降、クラミジアや淋病などの性感染症に感染する中高年が急増している。しかもボーナスシーズンの6月に発症する人が多いという。そこで年間1600例(昨年)もの性感染症治療を行う「新宿さくらクリニック」の澤村正之院長に、その実態と対策を聞いた。

 性感染症を放置すると、前立腺炎を引き起こすケースがあるのだ。そうなると通常は数週間で完治するものが、何カ月、何年とかかるようになる。
「中高年の中には、性感染症が引き金になってうつ病を発症する人が少なくありません。自殺に至る人もいます」
 厄介なことに、この性感染症、「早期に」「適切な」治療を受けるには、“難関”がいくつもある。
 まず、感染に気が付きにくいこと。たとえばクラミジアは、感染しても発病しない男性が5分の2、女性が5分の3で、知らないうちに周りにバラまく可能性がある。発病しても気が付かない人も少なくないのだ。
「検査でシロと出ても、実は病原菌がいたというケースもあります。特にクラミジアは多く、検査前に排尿したために一時的にクラミジアが減ってシロになったり、“限りなくクロに近いシロ”で治療の対象外になったが、その後に症状が悪化して出てきたというケースもあるのです」
 病原体に耐性が出来るため、薬もすぐ効かなくなる。
「性感染症学会ですらその実態を把握していない。厚生労働省が認可している薬にもすでに効き目が激減しているものも含まれています。そういう薬が多くの医療機関で処方されています」
 これらの“難関”も性感染症の治療経験が豊富な医師なら乗り越えられるが、実際は経験が少ない医師がほとんど。
「教科書に書いてある治療方法では古すぎて、実際の現場の治療の役には立たないのです」
 そんな状況の中で被害を最小限に抑えるポイントは以下の通りだ。

★症状が出たらすぐ病院
 とくに注意しなければならないのはクラミジア、淋病、尖圭コンジローム。
「クラミジアは排尿のとき“しみる”“ペニスが熱い”などの症状があります。亀頭の先端がヌルヌルしたり、膿(うみ)が乾燥したために尿道口がノリのようにくっついて排尿時に飛び散ったり、なかなか出なかったりすることも。症状がすぐに治まる人もいますが、一度でも“何か変だ”と思ったらすぐに病院へ」
 淋病は排尿時の痛みや膿が出る。尖圭コンジロームはペニスの軸部分のイボや、“亀頭部に苔(こけ)状に何かができている”と感じたら要注意だ。

★クラミジアの検査は“2段構え”で受ける
 クラミジアの尿を調べる検査(PCR)だけでは不十分のこともある。ペニスの分泌物から病原体の有無を調べる検査も受けた方がいい。

★薬の名前と量をチェックする
 澤村院長のもとには「ほかの施設で治療を受けたがよくならない」という患者が多数やって来る。これらの患者によく見られる“要注意の処方”が「淋病でミノマイシン200ミリグラムを3日から2週間」「淋病でクラビット3錠を1〜2週間」「シプロキサン3錠を7日間」「ジスロマック250ミリグラム2錠を1日」だ。これらは薬がすでに効き目が落ちているものだったり、服用量が少ない。
 どれかに該当したときは、少なくともセカンドオピニオンやサードオピニオンを求めた方がいい。
 たとえ自分が“正しいセックス”をしていても、妻や恋人がそうでなければ感染することがある。油断は禁物なのだ!

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