男の更年期障害 年代別チェックリスト


「30〜40代男性は15%、50〜60代は35%」――。
 札幌医科大学が発表した「男性更年期障害の症状が見られた人の数」はショッキングだ。50代の男性社員が100人集まれば、35人が更年期障害ということである。
「オレは大丈夫」と思っても、実際は大丈夫ではないのだ。男性更年期障害の治療を10年以上行っている神田医新クリニック・横山博美理事長が言う。
「周囲も本人も気がつきにくい。しかし何の対策も打たずにいるのは危険です。最悪、自殺の可能性もあるのです。発作的に自殺するうつ病と違って、男性更年期障害の人は計画的にやるからタチが悪い」
 そこで横山理事長に作成してもらったのが別表のチェックリストだ。「年代別に違った特徴(症状)が見られる」ため年代別になっている。
「たとえば30〜40代なら、“オレの人生って何だったのだろう”という思いが強くなったり、極端に神経質になったり、何かをすることがおっくうになったりします。50代は典型的なうつ状態に陥って、出社拒否を起こしたり、気力が著しく低下します。60代、特に定年退職になる60歳前後はイライラがひどくなって、ささいなことでも怒鳴り散らすことが増えるのです」

 さあ、年代別チェックリストで“自己診断”だ。5点以下は問題なしで、6〜10点はまずは食生活の改善だ。
「酒やたばこを控え、残業時間を減らす。そして納豆やヤマイモなどネバネバ食品、豚肉などビタミンB1が豊富なもの、生野菜や果実を多めに取る。動物性脂肪はホルモン量低下の原因になるので、摂取量を減らす」
 これでよくならない人、点数が11〜15点の人は、漢方薬も加えるといい。30〜40代は半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、50代は桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)、60代は柴胡(さいこ)加竜骨牡蛎湯や八味地黄丸(はちみじおうがん)などが効果的。漢方薬局などで買える。
 16点以上なら病院だ。精神科や心療内科より泌尿器科がいい。男性更年期障害かどうかは、男性ホルモンの分泌量を調べればすぐに分かる。
「治療の目安は3カ月ほど。通院は、当院では男性ホルモン補充療法も受けている人なら2〜3週間に1回、そうでない人は1カ月に1回程度。最初のホルモン量の検査以外は保険適用です」
 あなたはどう?

【男性更年期障害チェックリスト】
以前と比べて変わったものに○をつける。1つ1点。

●年代に限らず該当するものに○
《行動》
・夜、眠れない
・悪夢をよく見る
・汗(特に寝汗)をたくさんかく
・足が冷える
・肩(特に肩甲骨の間)の凝りがひどい
・顔が熱くなる
・勃起障害がある
・仕事中の頻尿がある
・感情の起伏が激しくなった
・不安や落ち込みがひどい
《リスク要因》
・若いころに比べて太った
・腹が出ている
・酒やたばこの量が多い
・頭を使う仕事だ
・肉や脂っこいものが好き

●年代別に該当するものに○
◎30〜40代
・こんな人生でいいのか、と思う
・ドタキャンをよくする
・昇進など“おいしい話”でも尻込みしてしまう
・非常に神経質(たとえばカギを閉めたかどうかが気になって仕方がないなど)
・食欲不振、動悸、目まいなどがある
◎50代
・うつ傾向がある
・全身の倦怠感がある
・集中力、記憶力、持久力が低下
・月曜日が特に憂うつで会社に行きたくない
・自分はダメな人間だと思う
◎60代
・ささいなことで腹が立つ
・つい怒鳴りつけてしまう
・テレビやラジオの大きい音や、家族が電話で大声で話していることなどにイライラする
・嫌なニュースを見ると耐えられない気持ちになる
・家の中の細かいことが気になって仕方がない

◆5点以下 問題なし
◆6〜10点 男性更年期障害予備軍。食生活の改善の必要あり
◆11〜15点 軽度〜中度の男性更年期障害の可能性あり。自己対策を
◆16〜20点 中度〜重度の可能性あり。病院で相談を


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