人間ドック 基準値内でも油断禁物だ!
この数値はヤバイ
人間ドックや健康診断の結果が返ってくる度に、結果が「基準値内」であることにホッと胸をなでおろしている人は多いだろう。しかし、その“油断”が重大病を見逃す原因になる。東海大学東京病院内科の片岡邦三医師が言う。
「基準値内でも油断してはいけない理由が2つあります。検査結果として数値に出てこないことがあるのと、もうひとつは基準値そのものにかなり幅があることです。たとえば白血球の基準値です。私は経験から4000〜8500としていますが、検診の検査会社によっては3900〜9800を基準としているところもあるのです」
何が基準値内でもヤバイのか? 片岡医師に聞いた。
★血糖値(基準値 空腹時70〜109mg/dl=以下同じ)
基準値内でも100〜109なら要注意だ。
「基準値は109までを正常としていますが、糖尿病の問題がない健康な人は100以上になりません。100以上なら“異常”だと考えて、食生活を改善するべきです」
★血圧(最高血圧130oHg・最低血圧85oHg以下/140.90以上が高血圧) 検査のときは正常血圧でも、油断は禁物だ。
「仮面高血圧といって、夜間から早朝にかけて高血圧になるケースがあるのです。これは“普通の高血圧”と同じくらい脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすリスクが高い。人間ドックの検査では出てこないので、家庭用血圧計で測定して自分で調べることが必要です」
起床後1時間以内・朝食前に、排尿を済ませ、座位で1〜2分安静にした後、測定する。仮面高血圧は普通の高血圧とは基準値が異なり、135/85以上なら治療対象だ。
★ヘモグロビン(男性13〜17g/dl)
「基準値内でも昨年と比べて急に数値が下がっていたら、胃腸の内視鏡検査を受けてください。大腸がんや胃がんなどが見つかることがあります。胃腸などに出血があるとヘモグロビンの数値が下がるのです。ついこの間診た人も、昨年は15だったのに今年は13に下がっていて、内視鏡検査をするとがんが見つかりました」
★白血球数(4000〜8500/μl)
白血球の数はだいたい毎年同じくらい。数が増えていれば、体内で炎症が起きていることが考えられる。
「毎年4500〜5500くらいなのに今年は8000だった……というような場合です。風邪をひいているときも白血球の数は増えますが、そうでないときは感染症などを疑った方がいい」
★便潜血反応(マイナス)
便潜血反応が異常なしでも、大腸がんなどが潜んでいる場合が少なくない。マイナスの人の2、3割に見落としがあるという報告があるのだ。
「盲腸に近い側の腸にがんができると症状が出にくく、便を調べても何も変化が出ないことも少なくないのです。家系に大腸がんの人がいたり、発症リスクが高くなる50代以上の人は、胃腸の内視鏡検査も受けるべきです」
検便だけでは足りないのだ。
★腹部超音波検査
“異常なし”でも、決して安心できない。
「すい臓は非常に見づらい臓器です。慢性すい炎などがあっても、腹部超音波検査で見つからないというケースがあるのです。大酒飲みや脂っこい料理が好きな人、肥満の人は、超音波検査に加えてCTやMRTを受けた方がいいでしょう」
★胸部レントゲン検査
経験が少ない医師が見ると、レントゲンだけでは肺がんや結核の見落としがあるという。そのリスクを下げるためにCTも一緒に受けることだ。「基準値内」「異常なし」だからといって喜んでいては駄目なのだ。
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