夏の3大病 やられない対策はコレだ

暑さによる脱水状態と悪い生活習慣が重なると危ない

 暑くて汗をかき、体が脱水状態に陥りやすい7、8月に増える重大病がある。暑さが体に及ぼす生理的変化に、悪い生活習慣が重なると、間違いなく病気は起こってくる。どんな人が発症リスクが高いのか。対処法は? 専門医に聞いた。

●脳梗塞
 気候が温暖な5月に年間で最も発症が少なく、7、8月になると増えてくるのが、脳の血管が詰まって発症する脳梗塞だ。特に安定した気温が続いた後に、急に暑くなった時が危ないという。
「夏は体が脱水傾向になって、血液がドロドロになり固まりやすくなっています。脳梗塞を起こしやすい基本的な条件があるところに、気温の変化が加わると、血圧も変動して脳の血液循環が微妙に変わり、これが最後のひと押しとなって脳梗塞を起こすのです」(日赤医療センター脳神経外科・鈴木一郎部長)
 雨が上がって急に暑くなった日、営業マンのAさんは朝から夕方まで飛び込み営業にかけずり回った。炎天下だったが、ろくに水分補給もしなかった。夕方、会社に帰ってしばらくした後、急に右手足が動かなくなり、救急車で病院に運ばれた。
「脳梗塞発作の前ぶれである一過性脳虚血発作でした」(鈴木部長)
 鈴木部長によると、夏の脳梗塞発作予防の5カ条は、以下の通りだ。
 (1)炎天下に出歩く時間を少なくする。出歩くときは帽子をかぶる(2)こまめに水分を補給する(3)熱帯夜でも睡眠を十分とるように心がける(4)高血圧の人は、食事、運動、薬などで血圧を上げないようにしておく(5)脳梗塞の危険因子である糖尿病や高脂血症の管理も怠りなく。

●尿路結石
「夏は気温が上昇するので汗をかき、そのために尿量が減少して尿が濃くなります。それでシュウ酸やカルシウムなど結石のもとになる物質の濃度も高くなり、結石ができやすくなるのです」
 こういうのは、千葉大学医学部泌尿器科元教授の伊藤晴夫氏だ。
 特に尿路結石になるリスクが高い人は「一度尿路結石にかかったことがある」「高尿酸血症や痛風の気がある」「酒をよく飲む」「肥満である」などだ。
 伊藤氏によると対策は、(1)1日の尿量が2リットル以上になるよう、水をこまめに飲む。飲む水はカルシウム1に対してマグネシウム0・3以上含むものがいい(2)動物性食品は必要最小限(体重1キロ当たり約1グラムのタンパク質)にし、脂身はなるべく避ける(3)小魚、大豆、低脂肪牛乳などのカルシウムは多めにとる(4)野菜、海藻などのアルカリ性食品を多くとる(5)アルコールは控えめにする(6)夕食から就寝まで2時間以上あけるようにする――。

●痛風
 商社マンのBさんは、炎天下に接待ゴルフをした後、クラブハウスでビールを大ジョッキに2杯立て続けに飲んだ。その後、2時間車を運転して家に帰った。かなり消耗した。その晩、Bさんは、右足の親指の付け根の激痛で目を覚まし、タクシーを呼んで病院を受診。痛風発作だった。
「暑さで尿量が少なくなったこと、大量のビールを飲んだこと、体を消耗したことなどが、尿酸の排泄を減らしたり合成を高めたりして、痛風発作につながったのです。Bさんもそうでしたが、夏は、悪条件が重なると、尿酸値がやや高めという程度でも、痛風は起こってきます」(聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター長・西岡久寿樹教授)
 炎天下の運動+アルコールの多飲は、最悪の組み合わせだ。
 これを避けお茶などで水分を十分補給し、高カロリーの食品の取り過ぎを控えて太らないようにすることが、発作予防につながる。
 心して危険な“夏”に対処しよう。

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