首、肩、腕の痛みしびれに思わぬ原因

油断は禁物だ!


「首が痛む」「肩が凝る」「指がしびれる」など、首・肩・腕にうっとうしさを感じている人は要注意だ。悪い姿勢、運動不足、ストレスなどのせいとタカをくくっていたら、実は重大な病気が潜んでいたということがあるのだ。日赤医療センターリハビリテーション科の久野木順一部長に聞いた。

●肩を動かすと痛い。特に腕を上に上げたり、背中に回そうとすると痛みが増す
 肩関節周囲炎、いわゆる五十肩の可能性が大。
「最初は痛みが主症状ですが、次第に肩の動きが不自由になってきます」
 病院の整形外科へ。薬物療法などで痛みが治まったら、医師の指導のもとに、肩の動きを悪くさせないための運動療法を。

●首から肩にかけて神経痛のような痛みが出てきた
 帯状疱疹(ほうしん)の疑いがある。
「帯状疱疹では、発疹が現れる1週間前から神経痛のような痛みが生じます。その後、神経の走行に沿って、帯状に虫刺されのような発疹が出てきます」
 皮膚科を受診して、検査・治療を受けよう。

●両手の指先がしびれ、はしを使うなど細かい動作がしにくくなる
 最近増加傾向にある頚椎後縦靭帯骨化症の疑いがある。
「後縦靭帯は、椎骨同士の連なりを補強している3種類の靭帯のうちの一つ。カルシウムが付着して硬くなった後縦靭帯が、神経を圧迫するための症状です。足がガクガクして歩きにくくなることもあります」
 整形外科を受診して検査と治療を。

●首を後ろにそらすと首の後ろ側が痛む
 頚椎の椎間板ヘルニアの可能性が大。
「椎間板の中身の髄核が後方に飛び出して、神経根や脊髄(せきずい)を圧迫するための症状です。片側の腕から指先にかけて痛みやしびれを感じることもあります」
 重症になると足にしびれが出ることもある。できるだけ早く整形外科を受診して検査を受けること。診断がついたら薬物療法や牽引療法などの治療を受ける。

●肩が凝り痛む。腕の内側がしびれる。上まぶたが垂れ下がってきた
 肺の頂上の肺尖部にできる肺がん(パンコースト腫瘍)の疑いがある。
「がんが肋骨まで及ぶと肩の凝りや痛みが出ます。さらにがんが進んで上腕神経叢(そう)まで行くと、手のしびれが生じます。上まぶたが垂れ下がってきたのは、がんが交感神経にまで行ったためでしょう」
 肺の専門医にかかって精密検査を受ける必要がある。

●首から左腕にかけて強い痛みを感じる
 頑固な肩凝りと思っていると、心筋梗塞のことがある。心筋梗塞の典型的症状は前胸部痛だが、それがあまり感じられなくて、放散痛といって首や肩の痛みとして感じることもある。冷や汗が出て吐き気がすることも。緊急治療が必要。救急車を呼んで病院へ。

●首筋が激しく痛み、肩や背中から腕にかけても痛む。痛みは日増しに強くなる
 脊髄腫瘍の疑いがある。脊髄にがんが転移すると、骨が破壊されて折れていく。
「脊髄に転移しやすいがんは、腎臓がん、乳がん、肺がんなどです」
 放置せずにまずは整形外科で精密検査を。
 これらの症状をひどい肩凝りなどと勘違いしていると、大変なことになる。

top>首、肩、腕の痛みしびれに思わぬ原因