これは老化か、病気か?
気になる体の変調
人間、年を重ねれば体は老化していく。40、50代ともなれば、新聞の文字は読みづらくなるし、物忘れもひどくなる。しかし、「老化現象」だと軽く考えていたら、思わぬ重大病だった、ということがあるのだ。体の“変調”がただの「老化」なのか、それとも何かの「病気」なのか。その鑑別ポイントを専門医に聞いた。
●トイレに頻繁に行くようになった
年をとると、尿をためる膀胱の蓄尿力や尿を出し切る放尿力が衰えるので、若いときよりおしっこが近くなる。とはいっても回数が“ある一線”を越え増えるときは、前立腺肥大症の疑いがある。その回数は――。
「通常、40、50代の男性がトイレに行く回数は平均1日6、7回。これが昼間10回以上、夜2回以上になると、前立腺肥大症の可能性が高いといえます」(医新クリニック・田原達雄医師)
尿をこらえていられる時間も、チェックポイントになる。
「通常は尿意を感じても15分くらいは我慢できるものですが、1、2分も我慢できず、ちびってしまうようなことがあれば、前立腺肥大症の疑いが濃厚です」(田原医師)
このほか、尿が出るまでに数秒間の間がある、尿の切れが悪く、いつまでもダラダラ出るといった症状を伴うときも、前立腺肥大症を疑って検査を受ける必要がある。
●朝早く目が覚める
50代に入って朝早く目が覚めるのは、自然現象で病的なものではない。東京医科歯科大の井上昌次郎名誉教授が言う。
「加齢とともに体内時計の周期が前にずれます。例えば夜の12時に寝ていたのが10時に寝たくなるので、その分、起きる時間は早くなるのです。しかし、もともと夜の12時に寝ていたのに、朝の4時や5時など、明け方に目が覚め、その後眠れないというときは、うつ病による不眠の疑いが濃いといえます」
●息切れする
加齢とともに肺の機能は少しずつ落ちていく。「同じ年代の同僚と急な坂道を上っていて、同僚も自分も少し息切れを感じるというのは、生理的老化です。しかし自分だけが息切れを感じていて、同僚から取り残されていくとしたら、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の疑いがあります」(日本医科大学呼吸ケアクリニック・木田厚瑞教授)
せきとたんが出るようになったら、COPDの可能性はさらに高くなる。
●物忘れがひどくなってきた
聖マリアンナ医大神経精神科・山口登助教授によると、老化とアルツハイマー型痴呆の判別ポイントは以下の通りだ。
(1)例えば2時間前に質問したことは覚えているが、細かい内容までは完全に思い出せないとしたら老化。質問したこと自体を忘れて、同じ質問を繰り返したとしたら痴呆。お昼に食べたメニューの一部を忘れたとしたら老化、食べたこと自体を忘れたとしたら痴呆だ。
(2)「桜」「犬」「自動車」3つの単語を覚える。30分後にヒントをもらえば、3つとも言えるようなら老化。ヒントを与えても言えなければ痴呆だ。
「このほか、アルツハイマー型痴呆では、計算力が落ちて引き算がうまくできなくなるとか、立方体が書けなくなるなどの症状が出てきます」(山口助教授)
●目の前に蚊のような物が飛ぶ
「いつの間にか始まり、1カ月以上同じような状態が続くとしたら老化による飛蚊症、あるときワッと出て、それが増えたり大きくなっていくとしたら、網膜剥離の前兆の疑いがあります」(井上眼科病院・井上治郎理事長)
ギクッとしたのは何回?
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