こんな症状が心療内科でよくなった

必ず参考になる厳選実例集

 緊張や不安で下痢になったり頭痛がすることはだれにでもある。そんな心身反応が固定化し、慢性的な症状となったのが心身症だ。ストレスが免疫系、内分泌系、脳神経系などに影響を及ぼすのが原因とされているが、「心療内科」受診者たちは、どんな症状に苦しみ、どんな方法でそこから脱出しているのか。ストレスまみれのサラリーマンに必ず参考になる実例を紹介しよう。病院やクリニックの心療内科医たちに聞いた。

●慢性的に腰が痛み、背中や肩が板のように張る。尻も重だるい(45歳男性)→抗うつ薬のSNRI
 整形外科でMRIやCT検査を受けたが、原因となるような病変は見つからない。鎮痛薬も筋弛緩薬も湿布薬も効かない。ストレスがからんでいると判断した整形外科から心療内科に紹介されてきた。
「過労、厳しいノルマ、優秀な部下からの突き上げなどが、強い心的プレッシャーとなっていました。抗うつ薬のSNRIを飲んでもらったところ、3、4週間で痛みが半減。3カ月後、完璧主義の性格を見直す余裕ができたとき、腰痛からも解放されました」(日大板橋病院心療内科・村上正人科長)

●仕事が立て込むと、通勤電車の中でのどが詰まる感じがし吐き気がする。会社に行けないことがある(50歳男性)→筋弛緩法
 心臓が悪いと思って検査を受けたが、異常なし。
「2週間会社を休んでいただき、精神安定剤と抗うつ剤を服用していただきました。気分が少し楽になったところで、体をリラックスさせることで心の安定をはかる“筋弛緩法”を自宅で毎日やってもらい、1カ月後には会社に復帰できました」(三木内科クリニック・三木治院長)

●会議の多い週になると37度8分の微熱が続き、体のあちこちに湿疹が出てかゆい(43歳男性)→認知療法
 内科や皮膚科をハシゴしても治らない。
「いい企画を出さなくてはという強迫観念が、ストレスの原因でした。週1回通院してもらい、気楽に構えた方がいいアイデアが出るという方向に考え方を修正していく“認知療法”を行ったところ、1カ月後に微熱は引き湿疹も消えました」(西新宿プラザクリニック・織田敏彦副院長)

●顔や体がほてる。めまいがして、手足の指先がジンジンしびれる(54歳男性)→瀉血とウオーキング
 血液検査で赤血球数が700万個(通常は500万個)を超えていた。
「多血症でした。リストラで失職してからの症状とのことだったので、ストレス多血症と診断しました」(織田副院長=前出) 
 ストレスを感じると血液が普段より濃くなる病気で、放置し続けると脳血栓や心筋梗塞を起こして死に至ることがある。血液内科で血液を抜く瀉血(しゃけつ)をやってもらい、ウオーキングを日課にしてストレス発散に努めたところ、1カ月後には赤血球数が正常値上限で落ち着いてきた。

●突然始まる全身の筋肉の痛みが長期間続く(52歳女性)→抗うつ薬と抗けいれん薬
 ある朝、起き上がるのもつらい全身の激しい痛みに襲われ、それが続くようになった。家事もできなくなってきた。
「両親の介護から来るストレスがきっかけとなって線維筋痛症を起こしていました。抗うつ薬と抗けいれん薬を処方したところ、4年間治らなかった痛みが10日で半減し、2カ月で普通に行動できるようになりました」(村上科長=前出)
 いくら検査をしてもわからない症状は、心身症を疑う必要がある。

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