体と心に働きかけて便を正常化する



 暴飲暴食や食べ合わせなどで起こす下痢は一過性で、しかるべき対処をすれば心配ない。しかし慢性的に下痢が続く場合は、原因を突き止め、手を打つ必要があるのだ。

【下痢のタイプ】
 慢性的な下痢の原因にはいくつかある。まず自分の下痢がどれに該当するかのチェックだ。聖路加国際病院内科の西崎統医長に、症状別に原因を推定してもらった。
●会社や家庭で気掛かりなことができてから下痢が続いている
「慢性的な下痢の中で最も多い過敏性腸症候群の可能性が大。精神的なストレスが腸をけいれんさせて下痢を起こします」
 30代のAさんの悩みは、上司が夜11時まで会社にいるので、仕事が終わっても帰れないこと。この上司の下に配属されてから下痢が始まった。毎朝通勤途中に3回は下車して駅のトイレに駆け込む。
「整腸剤と下痢止めで下痢をコントロールし、上司に来ていただいて仕事が終わった時点で帰してあげるように助言しました。上司は了解。Aさんは元気が出て、仕事の能率がアップ。下痢も止まりました」
 一人で悩みを抱え込まずに、消化器内科や心療内科を受診して、自分の悩みの解消を手助けしてもらうのがいい。
●酒を飲み過ぎると必ず下痢をする
「冷えに対して腸が敏感なタイプです。冷えすぎたビールやジュースなどをとらないようにしてください」
●中華や天ぷらなどの油物をとると下痢になる
「すい炎の疑いがあります。消化器内科を受診して、すい臓の検査を受けてください」

【筋弛緩法】
 精神的ストレスの影響が大きい過敏性腸症候群に対しては、座ったままできる筋弛緩法が効く。東京神田・三木内科クリニックの三木治院長がいう。
「筋肉を緩ませて肩の力を抜くことができれば、精神の安定とリラックスがはかれます。筋弛緩法を日課にすれば、下痢の軽減につながるはずです」
 やり方はこうだ。息を吸いながら両こぶしを握って両腕を体の脇にくっつける。5秒(力が入った状態)。次に10〜15秒かけて息をゆっくり吐きながら、こぶしを開き、腕も脇から離して前の方に出す。これを5回繰り返す。

【漢方薬】
 中国漢方によると、慢性的な下痢の多くは体の冷えからくる。漢方薬で体を温めるのも手だ。長春中医学院の猪越恭也客員教授がいう。
「体を温める成分がたくさんある人参湯(にんじんとう)を勧めます。胃腸の働きが良くなり、下痢しにくくなる。早朝目が覚めて水のような便が出るという人には真武湯(しんぶとう)がお勧めです」
 同じ慢性下痢でも、頭痛を伴うものには呉茱萸湯(ごしゅゆとう)、ストレスが原因になっているものには痛瀉要方(つうしゃようほう)がいい。

【食べ方・飲み方】
 基本は消化のいいものを食べること。フードセラピストの丸茂ゆきこ氏が勧めるレシピは、以下の通り。
(1)ストレスタイプ
「ニガウリや酸味のある食品がいい。例えばゴーヤチャンプルです」
(2)酒の飲みすぎタイプ
「フライパンにクッキングシートを敷いて、梅干しをまんべんなく焦げ目がつくように焼く。大きいものなら毎日1個、小さいものなら2個食べる」
(3)腸が弱いタイプ
「気血を補い体内の余分な湿気を出すぶどうがお勧め。そのまま食べてもいいが、皮ごと煮て、汁を飲むといい」
 下痢から解放されるのなら、これくらいのこと、軽い軽い。


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