ギャバって何なの?

高血圧、記憶力、ストレスを改善


 いまテレビでも話題になり、中高年の注目も集めているのが、アミノ酸の一種「ギャバ」だ。
「玄米や、玄米を発芽させた発芽玄米、浅漬け以外の漬物、小魚、シラスなどに多く含まれています」(大妻女子大学・大森正司教授)
 さらに最近はサプリメント、ギャバ入りの菓子類、ギャバの量を増やした漬物、ドリンク、ヨーグルトなどが続々と登場している。
 ブームを巻き起こしている理由は、ズバリさまざまな健康効果があるからだ。中性脂肪や血糖値を下げ、肝機能を改善するなどの健康効果が挙げられている。中でも実験で証明されて注目を集めているのが、高血圧、記憶力、ストレスなどの改善効果だ。
 前出の大森教授らは高血圧への効果を調べるためにこんな実験を行った。
「高血圧と予備軍の6人を対象に、8週間毎日ギャバを取ると血圧がどう変化するかを調べたのです。結果は、最大血圧が平均151.7から141.7に、最小血圧が89.0から80.7に下がりました」
 なぜギャバが血圧を下げるのか? 2つ理由があるという。
「ひとつは腎機能を高めるからです。高血圧の人は腎機能が低下していて、血圧を上げる塩分を体内に取り込みやすくなっています。ギャバはそれを改善して、塩分の排出を高めます。もうひとつは、血圧上昇に関係するホルモンを生成する酵素の働きを阻害するのです。ギャバが多い発芽玄米を1日3食、おかずに小魚や漬物などを積極的に取れば、1〜2カ月で効果が出てきます」(大森教授)
“漬物は塩分が多いのでダメなのでは?”と思う人もいるだろう。しかしそれは違う。
「ギャバを取っていれば、漬物やみそ汁など普通の和食の塩分量なら問題ありません。ギャバが塩分の害を打ち消してくれるからです。食事でギャバを取るのが難しい人は、サプリメントで補給すればいい。薄味で味気ない食生活を送っている人にはギャバがお勧めです」(大森教授)
 記憶力やストレスへのギャバの効果を調べたのは諏訪東京理科大学・篠原菊紀助教授だ。
「平均年齢50歳前後の人40人に、ギャバを取った場合と、プラセボ(偽薬)を取った場合の前頭葉の働きの違いを調べる実験を行いました。具体的には記憶力や読解力など前頭葉の働きを調べるテストを行ったのです。その結果、プラセボよりギャバの方がテストの正解率が高く、明らかに前頭葉の働きを高めることが分かったのです。しかも摂取30分で成果が出た。テストは約3時間行いましたが、その間ギャバの効果が続いたので、少なくとも3時間は前頭葉の機能アップが持続する、といえます」
 脳にかかるストレスへの影響を見るために、光トポグラフィーという脳の血流を調べる装置でも調べた。すると、ギャバを取る前はストレスで刺激を受けていた脳の部分が、ギャバ摂取後は“ストレスがない”状態になっていたという。
「ギャバには神経細胞の興奮を抑えて前頭葉の機能を高める作用と、副交感神経を活性化させてリラックスさせる作用がある。これら2つが実験で証明されたのです。常にギャバを摂取していれば、加齢による前頭葉の働きの低下を抑えられ、ボケの予防になることも考えられます」(篠原助教授)
 今は弁当や定食屋でも、ギャバが多い発芽玄米や玄米のご飯を選べるところが増えているし、粉末状や錠剤のギャバがドラッグストアなどで買える。思っているよりも簡単に“ギャバライフ”が送れるのだ。早速始めようではないか。



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