激ヤセする病気はこの7つ

何が原因かを突き止めないと致命傷になる


 またまた毒殺説が浮上したナポレオン1世の死因問題だが、胃がん説も根強い。その根拠が「体重激減」。激ヤセしてまず頭に浮かぶのは、この胃がんをはじめとするがんだが、ほかにもやせる病気はあるのだ。それを突き止めないで、放置や無視を続けると致命傷になる。

 食欲があって、食べているのに体重が激減する場合、がん以外で疑われる病気のトップは糖尿病と甲状腺機能亢進症だ。
「この2つは、一気に体重が減少するのが特徴です。まず糖尿病ですが、肥満だった人が半年間で13キロもやせた例もあります。やせる減少スピードが速く、あっという間にゲッソリというやせ方をします」(東海大学東京病院・片岡邦三医師)
 糖尿病による体重激減は、のどの渇き、夜中にトイレで起きるようになったなどの症状を伴うこともある。
 免疫異常の病気で、悪化すると意識障害を起こして死亡することもある甲状腺機能亢進症のやせ方も“一気”だ。
「1カ月で5〜10キロもやせます。それに加えて、急に動悸や息切れが起こるようになった、汗をかきやすくなった、手が震えるようになった、甲状腺が腫れてきた、という症状がいくつかあれば、甲状腺機能亢進症の可能性が高い」(片岡医師)
 やせて洗濯板のような体になった、あるいはおなかや手足が特にやせた、というときは肺の病気であるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)が考えられる。体内で酸素が不足するために内臓機能の働きが悪くなって、栄養が吸収できなかったり、運動機能が落ちて筋肉が減少するのだ。
「息切れやせき、たんなどの症状も出ます。息切れで同僚と歩いても遅れがちになる人は病院で検査をした方がいい」(谷本内科クリニック・谷本普一院長)
 食欲がなくて体重激減の場合はクローン病に要注意だ。口から肛門までのあらゆる消化器官に炎症や潰瘍が起きる病気で、患者数が10年前の3倍と急増している。
「クローン病のやせ方は速い。人によっては2〜3カ月で10キロもやせます。下痢や腹痛、微熱なども同時に起こります。最初のうちは“下痢などの症状があったり治まったり”ですが、そのうち毎日起こるようになります。難治性の痔ろうがあって急激にやせてきた場合も、クローン病を疑います」(社会保険中央総合病院・高添正和部長)
 下痢を伴う体重減少には、潰瘍性大腸炎も考えられる。下痢以外に血便などもあり、放っておくと大腸がんを発症する率が高くなるといわれている。
 ほかに、食べると腹部や背中が痛み、そのために食事量が減って体重が激減したときは慢性すい炎の可能性ありだ。
 一気に体重が減るわけではないが、最近増えているのはうつ病による体重減少だ。
「朝は起きるのがつらく、午前中は特にやる気が起きなくて、あまり笑わなくなる。仕事などへの意欲もうせるなど、同時に起こります」(片岡医師)
 会社員のKさんは1カ月に2〜3キロ単位でやせていき、それを心配した家族が病院に連れていって診断したが器質的疾患はなく、心療内科で検査を受けてうつ病と診断されたという。
“やせ”の原因を見逃すな!


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