塩分をトータル半分に減らす決めワザ


 夏は脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高くなる季節。汗をかいて血液がドロドロになりやすいのだ。なかでも血圧が高い人は要注意。そこで、高血圧の最大原因である塩分を“トータル”で半分にするための“決めワザ”を横浜創英短期大学の則岡孝子教授に聞いた。
 ポイントは「摂取」「吸収」「排せつ」の3つだ。
「食事からの塩分の“摂取”が多くても、血液に“吸収”されるのを抑え、塩分の“排せつ”を高めれば、トータルでかなり減らすことができます。“摂取も吸収も排せつも”と欲張ってやろうとするとキツくて長続きしませんが、3つのうちどれか2つを心掛けるようにすれば、塩分量トータル半減も可能です」
 では、具体的な方法だ。

●食事からの塩分摂取を抑える
“食べてはダメ”では長続きしないので、確実にできる方法を紹介しよう。まず、1日3回の食事で絶対に押さえたいのは「パンにはバターやマーガリンではなくジャムを塗る」「みそ汁の具はうま味のある貝類にする」「干物ではなく皮を除いた焼き魚にする」「うどんやそばは“かけ”ではなく“ざる”にする」だ。
 この4つを“基本”にして、別の裏ワザを組み合わせる。ちょっとした工夫だが効果が高いのは「刺し身のワサビをしょうゆに溶かない。刺し身にワサビをのせて、ワサビが付いていない面にしょうゆを少しつける」「ギョーザやシューマイのタレは“酢としょうゆ”ではなく“酢とカラシ”にする」「フライにはソースではなくレモン汁」「焼酎梅干し割りをやめてレモン割りにする」「しょうゆをやめてポン酢にする」。
 こまごました工夫だが、3〜4つ合わせればかなりの減塩になる。

●血液への塩分吸収を防ぐ
「カリウムが体内に十分にあると、塩分(ナトリウム)が血液に取り込まれにくく、血圧が上がりにくくなるのです」
 カリウムが多いのは果物、海藻類、野菜だ。1食に取れる量で比較すると多い順に、刻み昆布、大豆、スルメ、サトイモ、トマトジュース、アボカド、干し柿、干しアンズ。ただしカリウムは熱に弱く調理で壊れやすいので、アボカドやドライフルーツなどがいい。
 コンビニなども利用し「朝食か昼食に必ずトマトジュースを飲む」「1日1回果物を食べる」「ドライフルーツを1日1回は食べる」などの習慣をつけよう。

●塩分の排せつを高める
「塩分の排せつを高めるのはカルシウムと食物繊維です。カルシウムはナトリウムと互いに作用を打ち消す関係にあって、排せつを促進します。食物繊維はナトリウムを吸着して、便と一緒に体外に排せつさせます」
 カルシウムが存分に働くには、マグネシウムが不可欠。だから2つ一緒に取ること。カルシウムの含有量は1食分で比較すると、エメンタールチーズ、ワカサギ、ヨーグルト、牛乳。マグネシウムはアーモンドやカシューナッツ、落花生の順に多い。
 食物繊維は水溶性と不溶性があるが、塩分トータル半減のためにはどちらも必要。ライ麦パンや切り干しダイコンなどの乾燥野菜、豆類に多いので、おかずに切り干しダイコンを付けたり、サンドイッチを食べるときはライ麦パンにしたりするといい。
 生活習慣病に立ち向かう決めワザを、しっかり身に付けようではないか。


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