7月は痛風発作にご用心!

小まめに水分補給、牛乳、野菜、海藻、果物を積極的に

 証券会社勤務の40代Tさんが、朝一番医務室に駆け込んで来ました。
「先生、きのう、ゴルフの素振りをしていたら足の親指をたたいてしまいました」
 たしかにTさんの左足の親指は見事に腫れていました。「骨折していますか?」と不安そうなTさん。しかし、医師はしばらく眺めると「Tさん、これは痛風発作ですよ」と診断しました。
 骨折かと思い込んでいたTさんは半信半疑の様子。「痛風ってこんなに痛いんですか? 骨じゃないんですか?」と明らかに不満顔。そして、医師の指示通り、不安そうなまま泌尿器科に向かいました。
 診断の結果は、重度の痛風。ゴルフクラブでたたいたことが引き金になり、一気に痛風を発症したのです。Tさんは、そのまま緊急入院でした。
 退院後、元気になったTさんは「あの時、先生を疑ったりして申し訳ありませんでした。入院してみて、いかに自分の食生活が乱れていたか分かりました」と話したそうです。毎晩、ビールを大量に飲み、肉食中心の食生活を送っていたことが原因でした。

 痛風の患者が一番増えるのは、7月だそうです。暑さで体内の水分が汗になって出てしまうのに、汗からは尿酸(針状の結晶)はほとんど排出されません。それで血中の尿酸濃度が高まり、主に関節に沈着、痛覚神経を刺激してキリで刺すような激痛を起こすと考えられています。
 尿酸は腎臓から尿として排出されるので、尿酸が増えると腎臓にも負担がかかります。処理しきれなかった尿酸が腎臓の中にたまっていくと、腎不全や尿毒症などの腎障害を起こすのです。最悪の場合は、死に至ることもあります。

 尿酸を体内にためないようにするには、食生活の改善が一番効果的です。肉類や脂肪の多い食事、甘いものを控え、アルコールを飲みすぎないことが大切です。
 また、尿酸は酸の結晶なのでアルカリに溶けます。尿をアルカリ化する食品は、牛乳、野菜、海藻、果物などです。これらを積極的にとると、尿酸を体外に排出しやすくなります。そして、水分は日ごろから小まめにとるようにしましょう。
 炎天下で運動をして、そのあと飲むビールのおいしさは格別ですが、それがきっかけになり、痛風発作を起こすケースも多いそうです。夏場に久しぶりにゴルフをやってビールを飲んだ夜に発作が起きて……という話はよく聞きます。
 ビールはアルコール類のなかではプリン体含有量が多い飲み物です。それに加え、体に無理がかかるほど激しい運動をすると、プリン体から尿酸が急激に生成されるのです。

 それでも、どうしてもビールが飲みたいという人は、おつまみを先に挙げたようなアルカリ性食品にするように心掛けましょう。
 またビールは利尿効果が高く、脱水症状になりやすいので、ビールを飲んだあとは水分補給をしてください。
 痛風が起こりやすい場所は、足の親指の付け根ですが、そのほかにもひじ、手首、手の指の関節などもあります。そして、私が今まで目にしてきた痛風発作の場所で、驚きナンバーワンは“耳たぶ”でした。足だけではないのでご注意を。
(ナースライター・春藤陽子)

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