■「潜在うつ」が増えている
●医者も見落とす新タイプ
うつ病というと「意欲がなく、なにごとにも楽しめない」というイメージを持っていないだろうか? しかし、最近そういうタイプとは違う“新うつ病”ともいうべきうつ病が出てきているという。それはどういう特徴があるのか? 対策は違うのか? ストレスケア日比谷クリニック・酒井和夫院長に聞いた。
「正確には、このまま放っておけば必ず重篤のうつになるという“潜在うつ”です。従来いわれるうつ病の特徴が極めて少ないので、医師ですら見落としてしまう。一般の方なら気が付かなくて当然ですが、この時点で対処しないと遅い」
35歳のOさんは、半年近く朝なかなか起きられない。仕事にも身が入らない。が、退社後や休日は元気ハツラツで、旅行に出かけたり、趣味を満喫したりしていた。
あまりに遅刻をすることが増えたので、心療内科に相談に行った。医師からは「休日そんなに活動的ならうつ病は考えられないでしょう。十分に休養を取れば、よくなります」と言われた。
しかし一向に朝の眠気、だるさは改善されない。でも、休日は変わらず元気だったが、2年ほど経ったころ、朝のだるさがひど過ぎて、布団から出ることができなくなった。家族の勧めで精神科を受診したところ、「うつです。もっと早く来ればよかったのに」と言われ、数カ月の休職を余儀なくされた。
「潜在うつの段階だと、ストレスの原因になっているところは行きたくないけど、それ以外は平気という場合がよく見られます。だからOさんの場合、会社以外の場所では積極的に活動できるし、楽しめる。だからかえって“発見”が遅れてしまう」
●症状がまるで違う
Y子さんは睡眠の質は抜群によかった。むしろ、いつまででも熟睡でき、夫が仕事に行っている間はずうっと寝ている状態。友達と遊びに行くことも大好きで、旅行や買い物、友達との長電話もしょっちゅうだった。
しかし家事だけはやる気が起こらない。以前は気合を入れてしていたが、最低限しかしなくなって1年近く経っていた。夫から「なまけている」と言われていたが、罪悪感はあるものの、どうしてもできなかった。
「彼女の場合も、潜在うつが考えられる。Oさんもそうですが、“何とかしようと思ってもできない。本人も罪悪感を抱いているが、改善できない”ということがひとつでもあれば、疑った方がいい。このままの状態を続けると軽いうつを経て、本格的なうつになる。しかし、潜在うつなら、薬を飲むところまでいかなくても、サプリメントなどでも対処できます」
自分を、妻を、周囲を、見渡してみよう。
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