道で痰吐いている人は要注意だ

「カーッ、ペッ」と痰(たん)を吐いている人を、よく見かける。周りには不快なクセだが、実はそれは“怖い病気”を患っているサインの可能性があるという。怖い病気とは何なのか? もし自分が“カーッ、ペッおじさん”なら、どうすればいいのか? 専門医に聞いた。

まず考えられるのは、副鼻腔気管支症候群だ。
「慢性副鼻腔炎、慢性気管支炎、気管支拡張症などが合併したのが副鼻腔気管支症候群です。副鼻腔炎、昔の言葉でいえば蓄膿症があると、鼻汁(びじゅう)がのどの方に下りて、気管支に入り、気管支炎の原因になります。そして黄色い痰が出る。のどに絡む粘りのある痰なので、しょっちゅう“カーッ、ペッ”と吐き出すようになる。若者にはめったに見られませんが、中高年なら十分に考えられます」(神尾記念病院・斎藤洋三顧問)
 昔は死に至る可能性があったが、今はそういうことはない。しかし、とにかく長く症状が続くので、痰が絡む不快な生活を強いられることになる。嗅覚障害が出たり、息切れ、ぜんそくなどの症状が加わることがあるので、副鼻腔気管支症候群なら、やはり治療を受けるべき。
「生活環境などで起こるというより、体質が関係しています。治療はマクロライド系の抗生物質の服用で行います。少量長期療法といって、少量を、数カ月にわたって長く飲みます」(斎藤顧問)
「喫煙者、あるいは喫煙習慣はないが身近にヘビースモーカーがいる、さらには排出ガスの多い都会に住んでいるという人なら、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の疑いもあります」と言うのは、公衆衛生院・浅野牧茂名誉教授だ。
「この病気は症状が進行するにつれ、息切れを伴うようになります。マッチの火を口から15センチほど離して、フウッと息を吹きかけて消せなければ、かなり進んだCOPDです。そうでなくても、喫煙者の場合、ブリンクマン指数(たばこの1日の本数×年数)が400以上なら、COPDを考えて病院で検査を受けた方がいい。放っておけばひどい息苦しさで、日常生活を送ることが困難になるし、死に至るケースもあります」
“カーッ、ペッ”の痰に血が混じっている場合は、肺がんの可能性もある。さらに意外にも肝硬変など肝臓病も考えられるという。
「肝臓の機能が衰えると、血液凝固能力が低下して出血しやすくなる。寝ている間に歯ぐきから出血していて、それがたまって血痰となって出ることもあるので、朝にやたらと血痰が出るときは、肝臓の悪化も疑ってください」(杏雲堂病院肝臓科・小尾俊太郎部長)
 人に嫌われる“カーッ、ペッ”も、ヤバい病気の早期発見に役立つのだ。


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