夏バテと間違えやすい“怖い病気”



暑さのせいと決めつけ放置したら危ない!

 夏バテになると、体がだるくなったり、疲れやすくなったりする。これは病気ではなく、夏に起こるちょっとした体の不調だが、実は、この症状にそっくりな病気があるのをご存じか? 夏バテと決めつけて放置していると、思わぬ重大病を見逃す恐れがあるのだ。聖路加病院元内科医長で「西崎クリニック」の院長・西崎統氏に聞いた。

●急性肝炎
 急性肝炎や脂肪肝など肝臓に障害があると、夏バテのような症状が出やすい。特に危ないのが急性肝炎だ。
「急性肝炎の初期症状は食欲不振や、体が抜けるようなだるさ、胃もたれなどの胃腸の不調などで、夏に発症すると夏バテと非常に間違えやすい。だから患者さんが感染に気づきにくいのです。急性肝炎は、A型やB型、C型といった肝炎ウイルスを持った人と性交渉をしたり、血液を介して感染します」
 夏バテと思い急性肝炎を放置すると危ない。特にB型の急性肝炎は劇症肝炎に進み、肝機能が急激に低下して、最悪の場合、死亡する。劇症肝炎を免れても、B型とC型は慢性肝炎から肝硬変、さらには肝臓がんに進む恐れがあるという。

●肺炎
「夏の体調不良で受診する人は、意外と肺炎を発症していることがあります」
 肺炎というと寒い時季をイメージする。それが盲点で、夏に発症した場合、見過ごしやすいのだという。
「夏に要注意なのは、間質性肺炎です。これは、肺胞の壁を意味する間質に起こる炎症の総称で、初期は軽い発熱や倦怠感、空せきなどで、夏に発症すると夏バテ、夏負けと思って見逃されやすい」
 間質性肺炎には、原因不明のものと原因が特定できるものがある。前者は難病指定され致死率が高いが、後者は治療すれば治ることが多い。

●リウマチ
「リウマチなどの膠原(こうげん)病は、関節などの強い痛みが特徴ですが、初期にはそうした症状は見られません。体全体の倦怠感や微熱など、夏バテのような症状が多いのです」
 リウマチは不治の病といわれてきたが、生物学的製剤の登場で早期発見すれば治るようになった。それだけに小さなサインも見逃してはいけない。

●糖尿病
「初期の糖尿病はまったく自覚症状がありませんが、病状が悪化してくると、倦怠感や体重減少など夏バテのような症状を伴うことが多い。放置している人は、治療を始めるチャンスです」

●腎臓病
「腎臓は、“沈黙の臓器”といわれますが、むくみは腎機能低下の重要なサインです。暑い夏は水分の過剰摂取で、むくみやすい時季ですが、それを夏バテと思い込まず、体に目を向けることが大切です」

 夏バテと似ている病気はたくさんある。ここで疑う目を持つかどうかが、生死を分けることさえあるのだ。





mixi招待|症状別

>topへ