夏風邪 あなたの対処法は間違いだ



いいと思ってやっていることが実は…

「夏風邪は冬の風邪と同じように対処していいものか」――。そう思い悩む人は多いのではないか。
 実際、下痢しやすく、咳(せき)の出やすい夏の風邪は、発熱や鼻水が目立つ冬の風邪とは違うウイルスが原因。「家庭で誤った対処法をしている人も少なくない」(都内の内科医)という。
 そこで東新潟病院医療技術部の中泉博幹部長(内科医)に、どんな“間違い”“過ち”が多いのか、具体例を聞いた。

●下痢止めの薬を飲む
“夏風邪はお腹にくる”というのは、エンテロウイルスなど夏風邪の原因となるウイルスが、のどだけでなく腸でも繁殖するからだ。
「夏風邪に伴う下痢は、腸内のウイルスを便と一緒に体外に排泄しようとする防衛反応。下痢止めを飲むとウイルスが排泄されず、夏風邪の回復が遅れることがあります」 下痢が何日も止まらず、体力の消耗が激しいときは、食中毒も疑われるので病院に行くべきだが、最初の2〜3日は様子を見た方がいい。
「むしろ下痢で注意したいのは、脱水症状になりやすいこと。小まめに水分補給することが大切です」

●布団にくるまって強引にたくさんの汗を出す
 汗を出すと風邪が抜けるなどといって、厚い布団にくるまって寝る人がいるが、これも西洋医学的には根拠が乏しい。
「汗を流せば、体にこもった熱が出て、体温を下げる効果があるかもしれません。しかし、それで風邪のウイルスが熱で死ぬわけではありません。夏は体力を消耗するデメリットの方が大きいので、おすすめできません」

●風呂に入らない
「“抵抗力が弱っているときに裸になると風邪が悪くなるとか、湯冷めが心配”と言う人もいますが、風邪の症状が軽く、熱がないときは入浴した方がいいと思います。副交感神経が刺激されて新陳代謝が高まり、回復を早める可能性があります」
 副交感神経を高めるという点では、シャワーよりお風呂がおすすめだ。

●ビタミンC入りの飲み物をたくさんとる
「“ビタミンCは風邪にいい”などといわれますが、よほど大量に取らない限り、風邪に効くわけではありません。現実的にはビタミンCを含めて風邪に効く栄養素はないと考えた方がいい」

●夏風邪は長引くのが当然と思い病院に行かない
「一般的に夏風邪は1週間ほどで回復します。それ以上長引いたときは、2次感染で肺炎や副鼻腔炎など他の病気を引き起こしていることも考えられます。病院で診てもらうべきです」
 夏風邪に特効薬もすぐ効く治療法もない。ひいたかな、と感じたときは余計なことはせず、家でゆっくり休養し免疫力を高め、ウイルスに打ち勝つ体力を回復することが大切なのだ。





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