まさかの熱中症

意外な盲点がこれだけある!

 ここ10年、熱中症が増えているという。ヒートアイランド現象などが関係しているそうだが、猛暑が予想される今年は、より一層の注意が必要だ。最悪の場合、死にも至る熱中症について、意外に知られていない必須知識を横浜創英短期大学・則岡孝子教授に聞いた。知らなきゃ、やられるよ!

★夕方になって涼しくなっても油断禁物
 炎天下に長時間歩くと熱中症の危険あり、ということは多くの人が知っていることであり、気をつけているだろう。
「ところが、夕方になって涼しくなってからも、油断は禁物なのです。気温が下がったからといって、熱中症の危険が去ったわけではありません。熱中症は高温あるいは高湿度のときに起こしやすくなる。気温は下がっても湿度が高いままだと、十分に熱中症を起こす可能性があるのです」
 同じ理由で「雨上がりも要注意」だという。
 Kさんは雨が上がって涼しくなったので、息子とキャッチボールを始めた。コントロールが悪い息子のボールを追いかけて走り回っているうちに、めまいや吐き気、動悸がしてきた。家に戻って水を飲み、しばらく横になっていると、症状が治まってきたが、後で相談した医師に「熱中症だったのでは?」と指摘された。
「湿度が高いときは、こまめに水を飲み、運動なども避けたほうがいい」

★帽子をかぶり続けるのはよくない
 直射日光を浴びないために、帽子をかぶる人も少なくないだろう。
「帽子は確かに熱中症対策に有効ですが、かぶり続けるのはよくありません。頭に汗をかいて、頭の湿度が高くなる。実はこれで熱中症を起こす人もいるのです」
 Eさんは子供をつれて遊園地に出かけた。はしゃいでいた子供だが、次第にぐったりとしてきた。日陰に寝かせ、足の付け根やわきの下あたりを水で冷やすと、元気になってきたが――。体には特に汗をかいていなかったが、帽子の下は汗びっしょりだった。

★筋肉に痛みを伴うけいれんも熱中症の疑いあり
 熱中症の症状というと、めまい、吐き気、倦怠感、頭痛、意識障害などが知られる。しかし、次のような症状もヤバイ。
「筋肉に起こる痛みを伴ったけいれんです。運動の影響でけいれんが起きたのかな、と思う方もいるかもしれませんが、これも熱中症の症状なのです。汗をかいて体から必要な塩分が出ていってしまい、起こる症状です」

★水をたくさん飲むだけでは不十分
 水分補給が熱中症の対策につながるが、それだけではダメだ。
「汗と一緒に塩分や糖分が体外に出ていっています。それを補うために、少量の塩、砂糖を水に溶かして飲みましょう。スポーツ飲料を飲むのもいいです」
 でも一気飲みはダメだ。こまめに飲まないと、水は体内に吸収されない。常にペットボトルに入れた水分を持ち歩き、“ちょこちょこ飲み”をしよう。

★のどが渇いて水を飲むのは大間違い
 営業職のOさんは仕事柄、外を歩くことが多い。のどが渇くのでしょっちゅう水を飲んでいたが、その日は特に感じず、水分補給をしていなかった。しかしそれが、熱中症の引き金になった。倒れて病院に運ばれた。
「のどが渇いたと認識したときは遅い。忘れないように、1時間置きとか時間を決めて飲むようにするといい」
 この5つの基本ツボは押さえていないと危ない。


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