「やせる睡眠」「太る睡眠」

食事や運動不足だけが肥満の原因じゃない

 運動や食事に気を使っているのにやせられない。そんな人は、“寝方”に問題があるのかもしれない。最近の研究で「睡眠」と「肥満」は深いかかわりがあることがわかってきたのだ。つまり睡眠には「太りやすい睡眠」と「やせやすい睡眠」がある!

 まず睡眠時間が短いのは「太りやすい睡眠」だ。
「米国の研究では平均睡眠時間が7時間半の人が一番やせやすく、それを基準にすると、4時間以下の人は73%、5時間の人は50%も太りやすいという結果が出ています」 こう言うのは大阪天満橋睡眠呼吸障害センターの舛谷仁丸院長だ。
 人の食欲は、食欲促進ホルモンの「グレリン」と、食欲抑制ホルモンの「レプチン」で制御されている。睡眠時間が短いと、「グレリン」が多く分泌され、「レプチン」が効かなくなる。その結果、食欲を抑えきれずに過食になるという。
 いびきをかく、寝相が悪い、物音や光に敏感で夜中にすぐ起きるなど、浅い眠りも「太りやすい睡眠」だ。
「眠りが浅いと、体をリラックスさせる副交感神経と、緊張させる交感神経のバランスが不安定になり、代謝が低下します。その結果、太りやすい体になるのです」(舛谷院長=前出)
 順天堂大学付属病院循環器内科医の岩間義孝氏がこう言う。
「浅い眠りを改善すると、夜間に脳や体が十分に休まるため、昼間の活動が活発になって代謝が増え、やせることが多い。実際、浅い眠りの典型である睡眠時無呼吸症候群の人は、治療2カ月ほどで体重が2〜3キロ減るケースが目立ちます」
 この例からもわかるように、「太りやすい睡眠」の逆をやれば、「やせやすい睡眠」になる。とはいっても、理想的な7時間半睡眠を取れないサラリーマンは少なくない。ただし、いくら睡眠を削っても、3時間は熟睡するよう心がけよう。
「人は眠りはじめの3時間が大切です。最も深い睡眠に入り、細胞の再生に必要な成長ホルモンが多く分泌されるからです。細胞の再生には多くのエネルギーが必要ですから、熟睡して成長ホルモンが分泌されるほど、夜間に体内に蓄積される脂肪は減り、やせやすくなるのです。なお、深夜2時まではとくにホルモンの分泌が活発になるといわれる。できれば夜11時には寝床に入って熟睡することです」(「スリープクリニック調布」の遠藤拓郎院長)
 そのためにはちょっとしたコツがある。
「寝る前にぬるめのお風呂に入るのです。体温の下がり方が急激なほどスムーズな入眠モードになるからです」(遠藤氏=前出)
 肥満解消というと、食事や運動ばかりが注目されるが、睡眠も大事なポイントなのだ。



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