「風が吹くだけで痛い」「ノコギリで体を刻まれるよりも痛い」などと形容される「痛風」。最近は働き盛りの20〜30代で発症することが多いらしい。

この病気、悪さをするのがお酒、ことにビールに多く含まれる「プリン体」という物質。プリン体の老廃物である尿酸が体の中で結晶化し、関節の内側に付着する。それを白血球が敵とみなして攻撃することから足の付け根に強烈な痛みが生じるわけだ。痛風の発作自体は1週間もすればおさまるが、血液中の尿酸値が高いまま放置すると、尿路結石や腎機能障害を招く怖い病気。痛風の患者になると医師からは無情にも「ビール禁止令」を告げられてしまう。

だが『痛風はビールを飲みながらでも治る!』(小学館文庫)の著者の主張は、見出しの通り、通説とは逆。ビール党にとっては願ってもない朗報なのだろう。同著は昨年11月の発売からすでに7刷、発行部数は4万3000部にのぼる。「実用書でこれだけの反響は珍しい」(小学館担当編集者)。

この本が支持される理由は、単なる解説書ではなく、著者の納光弘医師(鹿児島大学病院神経内科)の体験記でもあるからだ。薩摩隼人らしく「無類のビール好き」な納医師は、専門医として患者に禁酒を指導する立場から一転、自身が痛風患者になるや、「酒が飲めなくなるのかぁ〜」と落胆。規制する根拠を示そうと、自らの体をモルモット代わりにして酒の種類や量を変えながら実験し、尿酸値の変化を記録した。半年間で採血すること201回。その結果、尿酸値を上昇させる原因の一つに「ストレス」があり、その緩和には多少の酒(著者の場合は一日に日本酒1.5合、ビール750mlまで)はよいということがわかった。

納医師の結論は、ビールだけを白眼視しなくてよいということ。ただし、体重やストレス管理も必要だという。まあ、多少なりともビールが飲めるんだから、そのぐらいは努力しないと、ね。 



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