たばこが「メタボリック症候群」悪化させる
吸えば吸うほど糖尿病や高脂血症、高血圧などの数値上がる
たばこが健康によくないことは知られているが、いま注目のメタボリック(内臓脂肪)症候群にも悪影響を与えるというのだ。たばこの害に詳しい大阪府立健康科学センターの中村正和・健康生活推進部長に聞いた。
「メタボリック症候群は、内臓脂肪の蓄積が大前提ですが、この前提を“喫煙”に置き換えても、同じメカニズムで病態が悪化していくのです。つまり、たばこを吸えば吸うほど、糖尿病や高脂血症などの数値が上がり、心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化性疾患のリスクが高まる」
具体的に見てみよう。まずは血糖値だ。イタリアのベローナ大医学部のターヘル博士は喫煙者と非喫煙者にブドウ糖を摂取させ、その後の血糖値と血中インスリン濃度を調べている。それによるとブドウ糖摂取後の血糖値の上昇、下降の流れには両者の差がなかったがインスリン濃度に明らかな差があったという。
「喫煙者の方が上昇が急で、摂取1時間後にはインスリン濃度が非喫煙者の約1.7倍に上がっていました。これは、喫煙によってインスリン抵抗性が上昇したことを示していて糖尿病を悪化させることにほかなりません」
インスリン抵抗性はインスリンの効き方を示す指標で、抵抗性が上がると効き方が悪くなる。たばこを1日20本以上吸う人は、非喫煙者の半分程度の効き目しかないという。
「糖尿病と喫煙習慣には相関関係があり、非喫煙者を1とすると、最大喫煙グループの糖尿病リスクは1.73倍。喫煙は糖尿病の発病因子です」
最大喫煙グループとは、「1日の本数」×「喫煙年数」が40以上の人だから、1日20本吸う人なら2年でアウトだ。
喫煙は、脂質代謝も悪くする。
「喫煙によるインスリン抵抗性の上昇で、血中の中性脂肪が増加し、善玉コレステロールが減少、悪玉コレステロールが増加します」
喫煙すると収縮期血圧(上)が約20(mmHg)、拡張期血圧(下)が約10上昇することも分かっている。
こうしたメタボリック症候群への悪影響が積み重なって、血管の動脈硬化が進み、脳卒中や心筋梗塞などを起こしやすくなる。
「喫煙によって生じた活性酸素は悪玉コレステロールを酸化させ、血管の内腔を傷つけます。傷の修復過程で、血管の内皮下に脂肪分が取り込まれて動脈硬化が進むのです」
1日20本以上吸う人は、非喫煙者より3倍も動脈硬化性疾患になりやすいという報告もある。それでも吸いますか? 減量して内臓脂肪を減らしてもメタボ関連数値が下がらない人は、たばこにやられている可能性が高いのだ。
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