老眼と思っていたら...「中年に多い目の病気」

特に要注意な3つの症状

 見にくい、見え方に違和感がある、目が疲れやすくなったなど、中年になるとよくある症状だ。これを加齢による老眼の始まりとばかり思っていたら大違い! 見落としたり手遅れになりやすい中年に多い目の病気を、井上眼科病院・井上治郎理事長に聞いた。
「病気が何かを考える前に、まずやるべきことは、本当に老眼の始まりなのかどうかを、きちんと確認することです。老眼の特徴を正確に理解していない人が結構います」
“遠くは見えるが、近くは見にくい”なら老眼。“遠くも近くも見にくい”なら老眼ではない。ここからが大事だ。
「老眼でなければ、見え方をチェックしてください。だれかの顔を見たとき、顔も手も周囲の風景もすべてがぼんやりと見えるときは、白内障を疑います。そうでなければ、次に挙げるものが考えられます」

●物の中心がかすんで見える
「人を見たとき、手や周囲は見えるが顔の中心がかすんで見える場合、網膜の中心に水がたまって網膜が腫れる中心性漿液性脈絡網膜症、あるいは米国では中途失明の原因第1位になっている黄斑変性の疑いがあります」
 黄斑変性は進行性の病気で、放っておくとどんどん悪化していき、失明に至る。ただ、物の中心がかすむが周囲は比較的よく見えるので、深刻に思わず、病院になかなか行かないケースも珍しくないというので、要注意だ。
「“中心性〜”は視力が大幅に落ちる病気ではありませんが、ゆがんで見えるなどの後遺症が出ることもあるので、やはり早く専門医を受診した方がいいでしょう」
 どちらの病気も片目だけに症状が出ることが多い。見え方に違和感がある、などと感じたときは、片目ごとに見え方を確認することだ。

●視界の上、あるいは下がかすんで見える
「下方(上方)はよく見えるのに、上方(下方)がかすんで見えるときは、網膜静脈閉塞症が考えられます」
 名前の通り、網膜の静脈が血栓で閉塞する(詰まる)病気。動脈硬化が関係しているので、高血圧や糖尿病の人はリスクが高い。
「残念ながら、治療をしても、落ちた視力を完全に回復させるのは難しい」
 これも片目に症状が出るので、両目ではなく片目ごとの見え方を確認しよう。

●上方から徐々に見えなくなってきた
「網膜剥離(はくり)です。“上からカーテンが下りてきたみたいに、少しずつ見えなくなった”と表現する患者さんがいましたが、この症状があったら、一刻も早く病院に行かなければなりません。あれよあれよという間に症状が進み、1カ月以内で完全失明してしまうこともあるからです」
 網膜剥離は名前はよく知られているが、症状を把握していない人が多いせいか、病院に来たときは手遅れ、ということもあるという。



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